サンライズ制作のオリジナルアニメ『太陽の牙ダグラム』が放送開始から40周年を迎えました。それを記念し、YouTubeのサンライズ公式チャンネルで、テレビシリーズ本編の無料配信が決定しました。さらにあの『機動戦士ガンダム サンダーボルト』で有名な漫画家、太田垣康男さんによるコミカライズも決定しましたとの事。
無料配信は5月28日20時より配信が開始され、毎週金曜日に更新するとの事です。配信話数は第1話~第12話を予定しているそうです。
そしてサンライズと小学館がタッグを組み、コミカライズ化も決定しています。原作・監督の高橋良輔監修の元、漫画家、太田垣康男氏によって描かれるコミカライズのタイトルは「Get truth 太陽の牙ダグラム」。eBigComic4にて5月28日より月刊1話掲載で、毎月第4週金曜日に更新予定との事。コミックスは紙と電子の両方で第1巻が12月、第2巻が2022年春に発売予定との情報もあり。さらに紙のコミックスの方は、以前より、ダグラムのプラモデルシリーズを展開しているマックスファクトリーのプラモデルとの同梱版も予定しているとの事で、これまた楽しみですね。発表されたビジュアルでもミサイルポッドがターボザックに接続されているのが気になります。
目次
『太陽の牙ダグラム』とは
40周年を迎える『太陽の牙ダグラム』は、テレビ本編とそれを1本の映画にまとめた『ドキュメント 太陽の牙ダグラム』以外、映像作品はつくられていません。なので他のロボットアニメと比べると、若干知名度は低いかもしれません。しかし、近年マックスファクトリーでプラモデルシリーズを展開され続けられるほどコアなファンも多く、続編が一切作られないながらも、ここまで愛されてきた作品はあまりないのではないでしょうか。『太陽の牙ダグラム』は、1981年に放送されたテレビアニメ。『装甲騎兵ボトムズ』で有名な高橋良輔監督作品です。
当時まだ映画『機動戦士ガンダム』の熱が冷めぬ時期で、『ガンプラブーム』がまだ続いていた時期だったと思います。ガンプラブームでガンプラが手に入らないこの頃、少年たちは売ってないであろうガンプラを探しに、模型店や量販店に足を運んでいました。この頃に大量発生したのが、『ガルダン』や『ガンガル』といった偽物のプラモデル、いわゆる“パチモン”。
パッと見ガンプラに見えることの手の商品は、当時のお父さんたちを錯覚させるには十分なビジュアルで、息子にガンプラを買ってくるように頼まれ、コレを買って帰って威厳を失ったお父さんは多かったと思います。そんな中、ある日ものすごくかっこいいパチモンが店頭に並びはじめました。それがこの『ダグラム』だったのです(すみません、ダグラムは偽物じゃないです)。
放送が始まったばかりの『太陽の牙ダグラム』は今のようにネットのない時代だったため、知っている人も少なかったと思います。しかし、店頭で見つけたダグラムのプラモデルから、どうもテレビでアニメがやっているという情報が少年たちの間で流れ、みんながみんな視聴していくことになります。しかしです。主役機である『ダグラム』に主人公が搭乗し、動き出すのはなんと第9話。全然画面にでてこないダグラムに少年たちはヤキモキしていました。その間、主人公のクリンが搭乗したのが『ソルティック(名称については後ほど)』。そしてちょうどその頃、ソルティックのプラモデルがタカラから発売され、当時の少年たちはこれに飛びつき、ガンプラほどではないにしろ、店頭で売り切れるという現象を引き起こしました。
『太陽の牙ダグラム』とは当時の少年たちが待ちに待っていたガンダムの次ぐ新しい『リアルロボットアニメ』だったのです。
少年たちを魅了したダグラムの特徴
『ガンダム』で使用されたロボット兵器の呼称「モビルスーツ」のように、『ダグラム』ではロボット兵器を「コンバットアーマー」と呼称されました。「モビルスーツ」以来、ロボット兵器の呼称がついたのは「ダグラム」が初でした。これに反応した少年たちは「ダグラム」に夢中になっていきます。コンバットアーマーはモビルスーツよりもリアルさを追求していて、顔が全面キャノピーになっていて、そこがコクピットになっていて、ガンダムのように容易に飛べない(厳密にはガンダムも飛べませんが)で、専用のヘリコプターやハンググライダーを付けてで空輸されたり、デザインもカッコよく(ガンダムの大河原邦男さん)、物語も政治を絡めたより大人向けの内容になっていて、“話はよくわからないけど、なんかオトナっぽくてかっこいい”とガンダムを経験した少年たちの心を掴みます。
そして今では考えられない全75話というものすごく長いストーリー。毎週ダグラムが放送されることが、今の『ちびまる子ちゃん』や『サザエさん』バリに浸透してきた頃、『ダグラム』は最終回を迎えます。なお、75話も続けてテレビで放映できるほど大人気作品となった『ダグラム』はTVシリーズを再編集した映画『ドキュメント 太陽の牙ダグラム』として同じくテレビ版を再編集した『ザブングル』と同時上映で映画化されました。
さらに珍しいところ
プラモデルのところで少し触れましたが『ダグラム』の作品内で機体の呼称が社名だったりします。前述で紹介した『ソルティック』の正式な名称は『ソルティックH8 ラウンドフェイサー』。なので機体名は『ラウンドフェイサー』が正式なのですが、劇中では『ソルティック』と呼称されていました。さらにダグラムは第1話の冒頭に朽ち果てたダグラムを登場させるショッキングな演出があったり、ヒロインであるデイジーの頬がこけていたりと他の作品ではないような事ばかりです。
75話の話の長さもそうですが、9話で本稼働するとはいえ、ダグラムだけで最終話まで戦い続けるのも、今考えるとすごい話です。途中、ターボザックやヤクトタイプなどのパワーアップはあったものの、ものすごく強くなる理由ではなかったので、本当に物語だけで魅せていった作品だと思いました。
『太陽の牙ダグラム』が40周年。YouTubeの無料配信を期に、気になった人は是非全部視聴してみてはいかがでしょうか。
「Not even justice. I want to get truth! 真実は見えるか?」
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