今回はセガのアクションアドベンチャーゲーム『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』のクリア後レビューを紹介します。
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LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶
発売からだいぶ経ちましたが、先日ようやく『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』をクリアしたので今回はその感想について紹介します。木村拓哉さんがゲームの主役を演じ、制作した会社が同じで、システムや一部世界観がセガの人気シリーズ『龍が如く』と共有しているとのことで、“キムタクが如く”という愛称で有名になった前作にあたる『JUDGE EYES:死神の遺言』。アクションアドベンチャーゲームとしても非常に魅力的な作品でしたが、何より考えさせられ、そして引き込まれるストーリーが非常に好評となった作品でした。そんな『JUDGE EYES』の続編として2021年9月に発売されたのがこの『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』。前作が好評だったこともあり、多くのファンが期待している中発売された本作は、その期待を裏切ることのない素晴らしい作品となりました。
今作の舞台は前作の神室町だけではなく、『龍が如く7 光と闇の行方』でメインのマップとなった横浜の伊勢佐木異人町も登場することで、必然的にその行動範囲も広がっています。個人的なイメージとしては基本的なストーリーが変わり、前作にほんの少し何かが追加された程度だと思ってプレイしたのですが、全然そんな程度ではなく、多くのものが一新されていました。個人的に嬉しかったのは前作で不満だった部分も多く解消されているのも好印象でした。そんな“キムタクが如く2”の感想と魅力について一つ一つ紹介します。
まずは物語の感想
個人的な感想としては、今作もやはりストーリーが面白かったです。今回のテーマは前作とは少し違って「いじめ」。社会問題となっているこの「いじめ」というテーマをゲームを通じて、深く切り込んだ内容となっています。今回も前作同様、クリア後にその内容を非常に考えさせられるものとなりました。「いじめ」って聞くと、ゲームとしてのエンターテインメント性が薄くなるんじゃないかと思われがちですが、そこは龍が如くスタジオの作品なので、事件の原因や発端が「いじめ」になっているだけで、シリーズ独特なバイオレンスやアクションは健在です。一見関係のない事件が、過去に起こったいくつかの「いじめ」事件でつながっていき、そして登場人物たちの隠された謎が次々に現れ、そして解明されていき、前作同様に章で区切られているのですが、各章の最後に毎回「え?」という展開があるので、本当に止めどきを失う物語でした。
とにかくこのシリーズに関しては前作もそうでしたが、ゲームを通じて何かしらの社会問題に問いかけていくこの攻めたスタイルに、拍手を送りたくなりますね。まあ、物語ですから説得の仕方が多少無理矢理だったり、全員が全員納得できる結末ではないと思いますが、あえてこの時代にこういったテーマを物語の主軸に置こうとするスタッフは素晴らしいと思いました。そしてタイトルについてもですが、発表された当初は個人的に『JUDGE EYES2』とかわかりやすいタイトルにして欲しかったのですが、ゲームを最後までプレイするとこの『LOST JUDGMENT』というタイトルの意味がよくわかりました。
それと前作をプレイしていなくても、ちゃんと説明がされているので、物語や主要キャラがよくわからないなんてこともありません。ありませんが、やはり前作をプレイしているとキャラたちへの愛着も変わってくるんで、時間があるならば、前作をプレイしてからをお勧めします。でも今作からでも大丈夫です。
ゲームとしての追加要素
それでは物語だけではなく、ゲームとして今作から追加された要素で、印象に残ったものを紹介していきます。
戦闘
今作も前作と同じくアクションバトルで、1対1のタイマンバトルに適した「一閃」と多人数を相手にしたバトルに適した「円舞」という二つのスタイルは健在で、今作はさらに「流」という新たなスタイルが登場。「流」は敵の攻撃を受け流したりする防御主体のスタイルなのですが、特定のアクションで敵の持っている武器を捨てさせたり、投げ技をしたり、「恐怖」という状態異常になった敵を一発で戦闘不能にできるスキルがあったりと、これまでのようにただガンガン攻撃するだけじゃなく、戦闘にいろいろな動きがでて、非常に楽くなりました。最初はなんかしっくりこなかったのですが、投げ技などがきれいに決まり始めると、他の2つのスタイルは使用せず、ボス戦含め終始この「流」だけで戦っていました。もちろん好みはあると思いますが、私は個人的にこの新スタイルが非常に気に入りました。
バトルリワード
そして戦闘にも直結するところなんですが、今作は「バトルリワード」というのが追加されていています。前作も同じなのですが、主人公の強化には戦闘の都度、経験値のような感じで取得する「SP」を消費します。「バトルリワード」は戦闘ごとに行ったアクションによって、この「SP」の獲得量が加算されていくものになっています。たとえば、シリーズ恒例の必殺技のような「EXアクション」を使用したら加算されたり、ノーダメージで敵を倒すと加算されたり、前述のように敵から武器を取り上げると加算されるなど、一回のバトルでどんな行動するかで、獲得SPが変わってくるシステムになってます。これのおかげで毎回の戦闘も怠くなく、どんな行動でSPをより稼ごうか意識しながら戦えましたので、追加されてすごく良かった要素だと思います。
探偵ガジェット
前作にもあった「尾行」が今回もあって、正直「もういいよ、こうゆうの」と思っていたんですが、それ以外の探偵アクションとして、「探偵ガジェット」がいくつか追加されていて、この部分については非常に楽しかったです。集音器を使って音を追っていったり、電波探知機で盗聴器を探したり、これはちょっとどうかとは思ったのですが探偵犬を使って何かを探させたりと探索アクションで楽しい部分が追加されたのは好印象でした。そしてマップのあちこちに隠されている「リスの絵」を探すという、本編とは関係のない所でのお楽しみ要素があるのですが、この「リスの絵」がどんな行動を取っている絵なのかで、この「探偵ガジェット」の中からどれかを選んで、ボーナスアイテムなどを獲得したりもできました。正直、「尾行」とか「チェイス」とか今回追加された「スティール」なんか全然面白くなかったので、探偵的な要素はこの「探偵ガジェット」だけで良かったと思います。
ユースドラマ
そして忘れてはいけないのがこのユースドラマ。プレイ前にネットなど見ると本作にはこの「ユースドラマ」というのがあって、それが魅力の一つだというのを目にしてたのですが、いまいちピンときていませんでした。ネットの動画など見ると、キムタクこと八神隆之がダンスしていたり、ボクシングしていたりしていて、これの何がドラマなのかさっぱりわかりませんでしたが、プレイしてみてその謎が解けました。
わかりやすく言えば「ユースドラマ」はもう一つの大きなシナリオです。物語の本編で「いじめ」問題に関わるので、八神は調査中に何度か「私立誠稜高等学校」に行くことになるのですが、ここのミステリー研究会の外部顧問になることになります。このミステリー研究会が追っている様々な問題を解決するため、八神は問題となっている部活に行って、指導員やら部員となってその問題を解決していくことになります。そしてそれらの問題の影には必ず「プロフェッサー」という謎の人物が関係していて、本筋とは別にこの「プロフェッサー」も追っていくことになります。そこで登場するのが「ダンス部」であったり、「ボクシング部(これは部活じゃなかったけど)」、「ロボット部」、「eスポーツ部」などたくさんの部活があって、それぞれで部活にあったミニゲームが存在するというもの。このミニゲームは単なる寄り道要素ではなく、それぞれ独特の成長要素や強化要素があり、こちらのシナリオを極めるのには、非常に多くのミニゲームをクリアしていかなくてはなりません。こういった要素が苦手な人は本筋には絡まないので、無視しても問題ないのですがこちらのシナリオは最後までプレイすると意外な結末が待っていたので、本筋とは別にもう一本、大きなシナリオが用意されていたという感じでした。
とにかくちょっと所か、大量の追加要素があり、そして本編の物語も秀逸。前作の魅力をそのまま拡大していった素晴らしい作品でした。正直、不満な部分もそれなりにあったのですが、それについて別の機会に紹介したいと思います。
何はともあれ、前作をプレイして面白かった人は、間違いなく楽しめ、前作をプレイしていない人も素晴らしいシナリオを体感することができると思います。
今回は以上です。
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