1977年にテレビ朝日で放映された「超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)」。今、フィリピンで実写リメイクされるという事で話題になっています。予告の動画も公開されました。
目次
「超電磁マシーン ボルテスV」とは
『超電磁マシーン ボルテスV』はその前番組にあたる『超電磁ロボ コン・バトラーV』の流れをくみ、5機の戦闘メカが合体して、敵と戦ういわゆるスーパーロボット作品。ボルトクルーザー(頭)、ボルトボンバー(腕)、ボルトパンザー(胴体)、ボルトフリゲート(脚)、ボルトランダー(つま先)が合体することにより、全長58.0m、重量600.0tの巨大ロボットとになって地球侵略を企てるボアザン星のボアザン帝国と戦っていくのがメインのストーリーです。前作で合体する超合金が大ヒットしたため、次の作品では、大きくコンセプトは変えないながも、内容を少し、高い年齢にターゲットを移して制作されたアニメ。日本では今もバンダイナムコで発売されるゲーム『スーパーロボット大戦シリーズ』などにも参加していて、若い世代にもそれなりに認識がある方だとは思います。フィギュアなどもたくさん発売されていて、日本でも今なお人気のある作品です。
なぜフィリピンで人気があるのか
『超電磁マシーン ボルテスV』限らず、日本のアニメは世界各国の放送局に放送権が販売され、それぞれの国にて吹き替えされ放送されています。『超電磁マシーン ボルテスV』も世界各国で放送されたのですが、1978年に放送を開始したフィリピンでは特に大人気で、最高視聴率が58%を記録するほどのアニメに。フィリピンでは、当時のテレビで放送するアニメは、アメリカの作品しかなかったそうで、当時のフィリピンの子供たちにとって『ボルテスV』の登場は、かなり衝撃的な作品だったとのこと。その後フィリピンでは、この『ボルテスV』の成功をきっかけに、次々と日本のロボットアニメが輸入されたとの事なのです。
大人たちには不評だった
しかし、人気があれば、その分反発もありました。子供たちの人気とは裏腹に、フィリピンの大人たちには『ボルテスV』への反発があったそうです。「内容が暴力的であり、道徳的でない」「子供がキャラクターグッズを欲しがったり、勉強をしなくなったりする」など、当時の放送担当者には、子供への悪影響を心配した親だけでなく、教師からも抗議の声が寄せられたとのこと。なにより、第二次世界大戦後のフィリピンでの反日感情からボルテスVの決めの必殺技に使用される武器、天空剣が侍の刀の象徴であるとか、旧日本軍の戦時中の行いを正当化したものだなど、民間で抗議団体も結成されるほどでした。そして、最終話直前の1979年8月、あの大統領フェルディナンド・マルコスが放送禁止を宣言し、国営放送での『ボルテスV』の放送中止されたそうです。
国営放送で本作品の残りの回が放映されたのは、エドゥサ革命でマルコス政権が倒れた直後の1986年。「ボルテスVを放映させるために革命が起き、マルコス政権が倒れた。」というジョークが語られることがあるが、この時の放送再開時にはかつてのようなブームも抗議活動もなかったそうです。
しかしその後、時代が流れ1999年から『ボルテスV』は再放送が始まります。その時、ブームが再燃し、最高視聴率が40%を超えたの事です。余談ですが、2006年、安倍元総理夫妻がフィリピンを訪問した際、昭恵夫人が訪問した施設では、現地の若者たちが、『ボルテスV』のエンディングテーマを歌って迎えたそうです。
そして2020年1月、実写によるリメイク版『Voltes V Legacy』の制作が発表され、今回の予告ムービー公開となったのです。
ほかにもある海外で人気のロボットアニメ
今回はフィリピンにて、『ボルテスV』が実写映画化する事になりましたが、海外で人気の日本のロボットアニメは他にもあります。もっとも有名なのがフランスにで大人気となった『UFOロボ グレンダイザー』。フランスでは『Goldorak(ゴルドラック)』というタイトルになっていますが、内容は「UFOロボ グレンダイザー」そのものです。そして「UFOロボ グレンダイザー」はイタリアでも大人気となったのですが、それ以上に話題となったのが『鋼鉄ジーグ』。オッサン世代には超合金を砂場で遊んで、砂鉄がつきて、合体できなくなってしまった記憶に残る、あの『鋼鉄ジーグ』です。イタリアでの『鋼鉄ジーグ』は、少し違った形で映画化されてます。その内容は日本のアニメのリメイクではありません。さらには、その実写版でもありません。全く別のオリジナルストーリー。しかも『鋼鉄ジーグ』がでてくる話でもありません。この映画は、ストーリー中、偶然身に付けた怪力パワーを『鋼鉄ジーグ』に例えているというもの。その超人的能力を悪と正義のどちらに使うのかというストーリーで、『鋼鉄ジーグ』が映画化されている・・・というニュアンスではないです。でも、劇中に『鋼鉄ジーグ』のアニメ映像はでてきまし、映画内で例えとして使われるほど、イタリアでは『鋼鉄ジーグ』が浸透しているという事になります。この映画のタイトルは『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』。日本でも公開され、映像ソフトも発売されています。
他にも日本の作品が海外で実写化されているものがたくさんありますが、今回の『ボルテスV』はフィリピンから。どんな作品になるのか、期待が膨らみます。
コメント