最近、再放送もされた2006年にテレビアニメとして放映された『コードギアス 反逆のルルーシュ』。基本的にはロボットアニメのジャンルにはなるのですが、主人公のルルーシュは主役機のようなもには乗らず、特殊能力である「ギアス」を駆使して祖国に反逆していくという、一風変わったストーリーとキャラクターの魅力などで、現在でも非常にファンの多い作品です。この作品についての魅力については、以前ご紹介しました。今回紹介したいのは、テレビ版と映画版の違いについて。まだ観たことがなくて、これから見ようとしている人や、どちらかだけ観た人の参考になればと思います。なお、内容的に一部ネタバレを含みますので注意してください。
目次
まずはテレビシリーズについて
『コードギアス 反逆のルルーシュ』は2006年に2クールの25話が第一期として放映されました。深夜の放送にも関わらず、その物語の展開やキャラクターの魅力で一気に話題作となりました。第一期の最終話では、怒涛の展開を見せるも、主役二人が銃口を向け合い、銃声がした所で物語が終わります。このラストでさらに話題となり、続編の放送がファンに待望されました。そして満を持して、2008年に『コードギアス 反逆のルルーシュR2』というタイトルで、第二期がスタート。放送時間帯も深夜から夕方に変更になり、前期の続きとなるストーリーを25話で展開し、物語の完結を迎えます。一連の物語は全50話という構成になっています。
劇場版3部作
テレビアニメの最終回をもって、『コードギアス 反逆のルルーシュ』は一段落したのですが、ファンの要望に応えるような形で、約10年後にネクスト・プロジェクト「復活のルルーシュ」が始動します。その内容は、まずテレビシリーズの『反逆のルルーシュ』の第1期と第2期を新規カットの追加やエピソードの削除などを行い再構成して、全編新規アフレコなどにより、劇場版3部作として公開されることが発表されました。2017年より『コードギアス 反逆のルルーシュ I 興道』、『コードギアス 反逆のルルーシュ II 叛道』、『コードギアス 反逆のルルーシュ III 皇道』と約半年間で順次公開されました。この3部作公開後にいよいよ続編となる『コードギアス 復活のルルーシュ』が2019年に公開されました。
テレビ版と映画版の違い
全50話のストーリーを映画3本にまとめるということで、それなりにカットされるエピソードは当然あります。細かい部分をあげていくと結構あるのですが、大まかには同じ物語となっています。カットするシーンを新規カットでつないだり、ダイジェストっぽくまとめたりしてはいるものの、鑑賞していて観にくいような構成にはなっていません。少なくとも個人的には『機動戦士Zガンダム』の3部作よりは観やすい構成になっていると思います。当然登場しないキャラクターなどもいるので、物語をじっくり楽しみたいのであれば、テレビ版をお勧めしますが、この『コードギアス 反逆のルルーシュ』に限ってはそうも言い切れない所があります。それは続編となる『コードギアス 復活のルルーシュ』を観るか観ないかで選択肢が変わってきます。わかりやすく説明すると、テレビ版で死んでしまうキャラクターが、映画版では生存し、続編の『復活のルルーシュ』はそのキャラクターが生存した状態で制作されています。なので、『復活のルルーシュ』は映画3部作の続編に限定されてしまうのです。そのキャラクターについては以下でネタバレしますので、ネタバレが嫌な人はここまででブラウザバックをお願いします。
シャーリーの生死
『コードギアス 反逆のルルーシュ』を映画版の3部作しかみてない人には、シャーリーというキャラクターが非常に薄い存在に感じるかもしれません。彼女の存在はテレビ版では非常に濃いエピソードがいくつかあり、テレビ版を視聴したかどうかでその印象は全然違うかと思います。『コードギアス 反逆のルルーシュ』には物語の最初から主人公であるルルーシュに想いを寄せる級友の「シャーリー・フェネット」というキャラクターがいます。シャーリーはルルーシュが裏で行なっていることや、世間を騒がせている「ゼロ」の正体だということを知らないまま、物語が進行します。
ここからはまずテレビ版のストーリーを紹介します。
第一期の中盤にルルーシュこと「ゼロ」が率いる「黒の騎士団」が起こした土砂崩れの巻き添えになって、シャーリーのお父さんが死んでしまいます。父の仇であるゼロを憎むシャーリーの元に、ルルーシュのことを調べていたブリタニアの「ヴィレッタ」という女性が、ゼロとルルーシュが協力関係にあるかもしれないという事を吹き込まれてしまいます。自身の目でルルーシュの潔白を確かめる為、彼を尾行するシャーリー。その先で偶然にもゼロの正体がルルーシュであることを知ってしまいます。動転したシャーリーは同じくゼロの正体を知ったヴィレッタを咄嗟に落ちていたゼロの銃で撃ってしまい、その場は去ってしまいます。
ルルーシュの正体と、ヴィレッタを撃ったことで苦悩していたシャーリーに、「他者の心を読む」ギアスの能力者「マオ」が現れます。シャーリーはマオに誘導されるままに互いの罪を償おうと、ルルーシュとともに死のうとしますが、ルルーシュの説得によって何とか踏み止まります。しかし、ヴィレッタを撃ってしまったことと、ルルーシュに銃口を向けてしまったことへの苦しみや後悔は、シャーリーの中に残ったままでした。そんな彼女に対し、ルルーシュはギアスの能力を使用して、シャーリーからルルーシュに関する記憶を全て忘れさせてしまいました。
その後、第二期「R2」の中盤でギアスキャンセラーの能力を持った「ジェレミア」によって、ギアスの効果が無効化されてしまい、シャーリーはルルーシュがゼロだという記憶を思い出してしまいます。しかし、シャーリーはルルーシュの抱える孤独を理解し、支えていこうと決意します。そこへルルーシュの偽りの弟「ロロ」に遭遇します。ロロはルルーシュの味方でしたが、ルルーシュの弟であることに異常なまでの執着がありました。そこでシャーリーがルルーシュの本当の妹である「ナナリー」を取り戻したいと告げてしまいます。「ナナリーが戻ってきたら、自分はルルーシュの側にいられなくなる」という不安をつかれたロロは、とっさに自分のギアスで時間を止め(ロロのギアスは時を止める能力)、シャーリーを撃ってしまうのでした。倒れているシャーリーに気づいたルルーシュは彼女にかけ寄り、必死で「死ぬな」とギアスをかけますが、ルルーシュのギアスではどうにもできず、シャーリーはそのまま死んでしまいます。
・・・このエピソードは多くのファンが涙し、中にはショックを受けてこの回を最後に視聴を中断した視人もいたとかいわれています。とにかくテレビ版の物語で、シャーリーは悲劇のヒロインでした。
そんなシャーリーですが、映画版では死にません。テレビ版での悲惨さが影響したのかどうかは不明ですが、まずお父さんも死にません。そしてマオに関するエピソードが丸々カットされているので、記憶をなくすこともありません。映画版ではルルーシュと軽く交際中の設定ですが、テレビ版でシャーリーが関わる重要なエピソードがことごとくカットされているため、映画版では生存とは引き換えにちょっと地味な存在になってしまっています。本編の大きなエピソードを変更した事で批判するファンもいるとのことですが、彼女が生存したことを喜んでいるファンもいます。
と、いうことで、続編である『復活のルルーシュ』では、もちろんシャーリーも少しですが登場します。なのでテレビ版を視聴後に、『復活のルルーシュ』を観てしまうと、シャーリーにかんする所の辻褄が合わなくなってしまいます。まだ『コードギアス 反逆のルルーシュ』を観ていない人は、映画3部作を観て、続編である『復活のルルーシュ』を観て、それでもより深く知りたいのであれば、テレビ版を視聴するのが、個人的にはいいかと思います。
『コードギアス 反逆のルルーシュ』については、その設定や物語など、非常に魅力的な作品なので、作品自体の紹介もいつかできればと思っています。
今回は以上です。
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