『機動戦士Zガンダム』テレビ版と劇場版の違いとは?

サブカル

本ブログでは、ガンダムを扱った記事が多いです。これからも多くなるでしょう。今回紹介したいのは『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム』のテレビ版と劇場版の違いです。まずは『機動戦士Zガンダム』について説明します。

『機動戦士Zガンダム』の説明

1985年3月2日に、テレビで放映された本作。それまでに売れまくったプラモデルの影響から、各媒体で望まれていた、待望だったあの『機動戦士ガンダム』の続編。テレビでは1年に渡って全50話が放送されました。前作の『機動戦士ガンダム』の登場人物のその後が描かれるなど、ファンにはたまらない作品となりました。が、その一方で次々に登場する専用機や変形モビルスーツ、複雑化して難解になったストーリーなどで、当時一部のファンからは不評であったことも事実です。それでも時間が経つと、この作品を前作以上に評価する人も多くなり、2005年に『機動戦士Zガンダム』20周年を記念して、劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation』が3部作で映画化されました。

今回紹介したい内容は、この『機動戦士Zガンダム』のテレビ版と映画版の違いについてです。というのも、どちらを鑑賞するかで、その内容の捉え方が全然違い、もし後に続く宇宙世紀シリーズを見るつもりならば、注意が必要なのです。

 

先に結論からいうとテレビ版をおすすめします

まず、どちらを観れば良いか悩んでいる人が、ここまできた場合は、テレビ版をおすすめします。劇場版には劇場版の魅力があったり、ラストの印象で好き嫌いもあると思いますが、深く作品を味わいたいという人には、テレビ版をおすすめします。ここからその理由について説明しますが、ネタバレを多く含みますので、ネタバレNGな方はここまでにしてください。

 

 

テレビ版と劇場版の違い

主人公カミーユの性格が少し温和になっている

まずは軽い内容から。テレビ版の放映当時、主人公のカミーユは、事あるごとにキレまくり、喚いてばかりいました。大人からの指示にもいちいち反抗したり、見方によっては、頭がおかしいんじゃないかって思います。劇場版でも少しはそうゆうシーンはありますが、テレビ版では比べ物になりません。テレビ版ではクワトロ大尉こと目上のシャアの事を突然ぶん殴ったりしていましたが、映画ではカットされています。そもそも劇場版の冒頭でカミーユが軍警察に捕まっているのは、カミーユの名前を聞いて、女の子と勘違いしただけの軍人を、ぶん殴ったことが原因ですが、劇場版は拘束されている所からスタートなので、そのぶっ飛んだ性格も目立たなくなっています。劇場版では、随分と聞き分けのいい男の子になっています。

 

重要エピソードがカットされている

劇場版『機動戦士ガンダム(以下:『ガンダム』)』の3部作もそうであったように、『Zガンダム』でもテレビ版にあったいくつかのエピソードがカットされています。しかし『ガンダム』の時と比べると、『Zガンダム』では、ストーリー上、重要なエピソードがカットされていて、『Zガンダム』自体の魅力が損なわれています。その中でも最も大きいのが“2回目の地球降下”。劇場版でいう所の第2部のあと、カミーユとクワトロの2人は地球にもう一度行きます。それも戦闘中に百式が大気圏内に落ちてしまったため、Zガンダムがウェイブライダーに変形し、百式を乗せ、大気圏突入するという、Zガンダムの最大の特徴である単機で大気圏突入能力があるというアピールした唯一の場面です。それがまるまるカットされているので、劇場版のZガンダムは、ただ変形する主役のガンダムになっています。そして、2回目の地球降下後、キリマンジャロにて、2部中盤で早々に死んでしまったフォウ・ムラサメとの再会があり、カミーユをかばってジェリドに殺されるシーンがあります。このシーン、地球にきたという事で、アムロにも会うのですが、カミーユにとってのフォウの死が、シャアとアムロにとってのララァと同じイメージを抱くなど、非常に感慨深いシーンが目白押しのエピソードなのです。アムロの名前がでてきたついでにいうと、この時、アムロは“ディジェ”という珍しくガンダムではない専用機に乗っていたりもします。私はこのディジェというMSが好きだったので、がっかりしました。そして最も大事なのが“ダカール演説”。クワトロ・バジーナが世論を味方につける為、ダカールの連邦議会にて、全世界にテレビ中継で演説を行うシーンがあるのです。ここでクワトロは、自らの正体がかつてのジオンのシャア・アズナブルであると告げ、さらにジオン・ズム・ダイクンの遺児である事やティターンズの悪事を明らかにします。そしてその後、アウドムラにてかつての宿敵アムロと酒をもって乾杯するシーンがあり、旧作から観てきたファンとしては、しみじみ来るシーンが多く、カットしてほしくなかったエピソードなのです。

 

『ダカール演説』の動画

 

新作カット

劇場版は基本的に当時のテレビ版の映像を再編集したもの。そして映画用に編集したことにより、シーンとシーンをつなぐ所は、いくつか新作カットがあります。新作カットは当時のアニメに比べだいぶキレイになっていて、前後のシーンとつなげると、違和感がでるほどキレイ。人によってはこれが見にくいという意見もあります。ですが、私としては新作カットに関しては、全肯定です。冒頭でも伝えましたが当時、『機動戦士ガンダム』の続編として最初に作られたのが、『機動戦士Zガンダム』。『Zガンダム』が本放映されていた頃は、他にガンダムはありませんでした。そしてその後、数十年の間にガンダムという名前の作品がたくさん作られました。その中には『Zガンダム』にも関わってくるOVAやゲームなどが作られました。つまり『Zガンダム』のあとにいっぱい『Zガンダム』係る作品がでてきました。この劇場版の新作カットでは、そういった後出し設定もしっかりフォローしているのです。中でも『機動戦士ガンダム』と『機動戦士Zガンダム』の7年の間のストーリーであるOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に、登場するジム・キャノンII、ジム・カスタム、ジム・クゥエルが出てきたり、模型誌中心で展開された『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』からもガンダムTR-1[ヘイズル]などが登場するなど、劇場版だからこその見せ場もありました。この新作カットは観ていてすごく楽しかったです。それと3部のラストでも、地球でのアムロたちが描かれたり、セイラさんも少しだけでてきたりと、新作カットならではのサービスもありました。

 

結末が違う

そして『Zガンダム』の劇場版でもっとも話題となったのが、最後の結末が違っている事。こっからも激しくネタバレです。『Zガンダム』のクライマックスは、本ストーリーのラスボスこと、パプティマス・シロッコの駆るジ・オと、カミーユの駆るZガンダムの一騎打ちになります。Zガンダムに搭載されているバイオコンピューターにより、エマ、レコア、フォウなどこれまで死んでいった兵士たちが、カミーユに力を貸し、ジ・オは動きを停止すします。死んでいった者たちの力を集めて、Zガンダムはウェイブライダーに変形し、シロッコのジ・オのコクピットに特攻します。・・・ここまではどちらも共通のストーリー。劇場版ではここでZガンダムの戦闘シーンなどに新作カットがあったりします。

で。テレビ版では、見事シロッコを討ちますが、断末魔のシロッコは『貴様の心も連れて行く(うろ覚え)』と呟き、散っていくのですが、カミーユは生き残るも精神崩壊をしてしまいます。コクピット内で『誰かーここ開けてくださいよー』と内側かハッチを叩く姿を見たファは『ブライト艦長・・・カミーユ・ビダンが・・・』と報告しかけて、そのまま物語は終わります。当時、この衝撃的なラストは話題を呼び、後に富野監督は『“アニメばかり見てるとお前らバカになっちゃうぞ”というメッセージを込めた』と語っており、今でも語り継がれて言います。そして後に続く、『Zガンダム』の後番組『機動戦士ガンダムZZ(ダブルゼータ)』にて、精神崩壊したままのカミーユを乗せたアーガマは、サイド1、シャングリラコロニーに入港し、そこで新主人公となるジュドー・アーシタが横たわるカミーユに触れ、ニュータイプになるきっかけとなり、その後、ジュドーがZガンダムのパイロットになっていきます。

ところがギッチョン!劇場版では同様にシロッコのジ・オに突っ込むのですが、シロッコが死んだ後、カミーユは普通に顔を上げ、ファと無事を確認しあい、二人は宇宙で抱き合います。その様子をアーガマのクルーがブリッジで、温かく見つめ物語は終わります。劇場版ではカミーユの精神崩壊は起こらず、ハッピーエンドを迎えます。このコトについて富野監督は、『Zガンダム』の映画化の際、“エンターテインメントにしたいので、最後はハッピーエンドにする”と明言していました。3部作の大作なので最後はスッキリしたいので、私としてもこれはこれで良かったのですが、いろいろ問題もでてきます。というのは、このラストにより『機動戦士ガンダムZZ』につながらなくなります。実際に富野監督は『機動戦士ガンダム』3部作と『機動戦士Zガンダム』3部作、そして『機動戦士ガンダムZZ』の後に映画化された、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』をあわせて、7部作であることも明言しました。つまり『機動戦士ガンダムZZ』はなかった事になってしまいます。『機動戦士ガンダムZZ』では『Zガンダム』でもシロッコと同じくらいの強敵、ハマーン・カーンとの決着が描かれるほか、これも大ヒットとなった『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』には、『機動戦士ガンダムZZ』に関するキャラクターがでてきたり、『機動戦士ガンダムUC』のメインの母艦は、『機動戦士ガンダムZZ』のメインの母艦、ネェル・アーガマだったりと、いろいろと困る事になってしまいます。

冒頭で結論でテレビ版をおすすめした理由はわかったと思います。ですが、劇場版には劇場版なりの魅力もあります。これから『宇宙世紀シリーズ』を網羅するのであれば、『機動戦士ガンダム』3部作→『機動戦士Zガンダム』テレビ版→『機動戦士ガンダムZZ』を見た所で、劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation』が3部作を見ると、いろいろと整理もつくかと思います。

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