前回の記事で、『ウィッチャーシリーズ』の基本の基本を紹介しました。
おそらく『ウィッチャー3 ワイルドハント』の世間での評判を聞きつつも、なかなかプレイしない人たちの多くがナンバリングの『3』というのが気になっているのではないでしょうか。私もその1人だったのですが、とりあえずプレイしてみた所、特に気にならずゲーム自体の面白さにハマることができました。ゲーム内には、しっかり人物を紹介するメニューなどもあるので、それを読めば十分補完できました。ただ、やはりそれまでのストーリーを知っていた方が面白いと思える部分がないとは言えません。私はゲームを進めながらも途中でネットなどで調べたりしましたが、なかなか知りたい所までたどり着けずイライラもしました。なので今回はざっくりではありますが、『ウィッチャー3 ワイルドハント』までのストーリーをまとめていきたいと思います。
今回は物語の前半となる原作である小説版のストーリーから。短編小説の方にはいろいろなエピソードがありますが、できるだけ端折って紹介していきたいと思います。詳細はいろいろ違いますが、すべての要素をしっかり解説すると、とんでもなく長くなってしまうので(これでも十分長いですが)『ウィッチャー3 ワイルドハント』のメインストーリーに絡む部分を中心に紹介します。ちなみに冒頭部分はNetflixのドラマでも描かれている部分でもあります。ではいきます。
その昔、物語の舞台となる世界はかつて、「天体の合」という大変動が起こり、異世界の境界が破壊され、異なる種族、異形の怪物が発生し、同時に「魔法」の力がもたらされ、世界は混乱していきました。怪物や魔物の驚異にさらされた人類はこれに対抗するため、薬物や血統操作で怪物に対抗できる人間「ウィッチャー」を生み出しました。
目次
偶然の原則
怪物退治を生業とするウィッチャーのゲラルトは、いろんな依頼をこなしがら、この世界の北方諸国という地方を旅をしていました。シントラ国という国を訪れたゲラルトは、ひょんな事からこの国を統べる屈強な女王キャランセからある依頼を受けます。その依頼内容は、“女王の娘である王女パヴェッタの誕生日の祝宴に邪魔が入らないよう警護してほしい”というものでした。ゲラルトはこの依頼は受託します。
そして祝宴当日。貴族たちが祝宴を過ごす最中、予想通りにトラブルが起こります。祝宴の場に騎士の甲冑をまとった男、ダニーが乱入します。ダニーは人間ではなくまるでハリネズミのような顔をしていました。そしてダニーは今は亡きシントラ国王と交わした、〈偶然の原則〉という魔の契約に基づき、王女のパヴェッタを自分の嫁にくれと要求してきます。
〈偶然の原則〉とは、契約者が偶然手に入れてしまった大切な物があった場合、もう一方にそれをもらえる権利があるといった感じです。ちょっとわかりにくいですね。適当に例をあげると、“ある日、マモルくんはタカシくんに命を救ってもらいました。マモルくんは感謝をしてお礼としてタカシくんと〈偶然の原則〉の契約をします。その後、マモルくんはラッキーな事に雑誌の懸賞でPS5がもらえました。それを知ったタカシくんが〈偶然の原則〉を使ってPS5をよこせっていいます。その場合マモルくんはPS5をタカシくんにあげなければいけないという契約です。ちなみにマモルくんはこれを拒んだ場合死にます!!”という感じです。Netflixのドラマ版では〈驚きの法〉と呼ばれています。
で。ダニーは昔、今は亡きシントラの王様の命を助けた事がありました。その時、お礼としてシントラの王様と〈偶然の原則〉を契約したとの事。なので大切なもの、つまり王女をよこせ!って言っているわけです。無茶な要求に周りはざわめきますが、パヴェッタ本人は満更でもなさそうな様子。実はダニーとパヴェッタは、みんなに内緒ですでに恋愛関係だったようです。しかし、女王のキャランセはハリネズミ顔の化け物との契約など知らないと、警備をお願いしていたゲラルドにダニーを殺すように命じます。しかしゲラルトは、ダニーは化け物ではなく、呪いにかけられた人間であることに気付きます。そしてゲラルトはその呪いを見事に解きます。ダニーはイケメンにもどれました。そして無事、パヴェッタとの婚姻成立しました。
ダニーは呪いを解いてくれたお礼をさせてくれとゲラルトにいいますが、お礼なんかいらなかったゲラルトは適当に、『汝の許にあり、汝がまだ知らぬものを我に与えん』という〈偶然の原則〉に基づく言葉を残してシントラ国を去りました。この何気なくゲラルトがした〈偶然の原則〉によって、数年後にダニーとパヴェッタの間に生まれる娘シリラ姫(以下シリ)とゲラルトは運命付けられてしまうのです。このダニー。後でとんでもない事がわかります。
シリとの出会い
それから10年後。大小様々な国が集まる北方諸国と、南方にある大国二ルフガード帝国が睨み合い、いつ戦争が起こるかわからない不穏な空気に世界中に溢れていました。例の一件以降シントラ国には近づかなかったゲラルトでしたが、とある森の中で怪物に襲われていた少女を助けます。ゲラルトはその少女が⦅偶然の原則⦆によって自分と運命づけられているシリである事に気付きます。シリの両親であるダニーとパヴェッタは数年前に海難事故で亡くなっていました。ゲラルトは幼ない少女を、危険が付きまとうウィッチャーの暮らしに近づけさせたくないという思いから、この運命を拒み、シリをシントラ国に送り届けました。
それからしばらくして、ニルフガード帝国は皇帝エムヒル・ヴァル・エムレイスの号令によりシントラ国に侵攻します。ついに北方諸国と二ルフガード帝国による戦争が始まりました。圧倒的な軍事力を持つニルフガード帝国の前にシントラ国は滅亡してしまいます。その噂を聞いたゲラルトは後悔の念にかられます。あの時、運命を受け入れていれば、あの少女シリを救えたのではないか・・・と。
半年後が過ぎました。ゲラルトは怪物に襲われていたとある農夫を助けてあげました。農夫は助けてくれたお礼に酒を振舞いたいとゲラルトを自宅に招待します。農夫の家に行くと、なんとそこに滅亡したはずのシントラの姫、あのシリがいました。シントラ国でおこった大虐殺を逃れていたシリは、各地を傷つきながらも逃げさまよった後、この農夫の奥さんに保護されていたのでした。こうしてゲラルトとシリは運命の再会を果たしました。
いろいろ違う所はありますが、ここまでがNetflixドラマのファーストシーズンのストーリーです。
ケィア・モルヘンへ
Netflixドラマのシーズン2のケィア・モルヘンでのシリ(と思われるシーン)
シリと再会を果たしたゲラルトは今度こそ運命を受け入れ、シリを実の娘のように接しました。そしてシリもまたゲラルトを実の父のように慕いました。ゲラルドは二ルフガードや数々の謀略から追われるシリを守るため、ケィア・モルヘンに連れていきます。ケィア・モルヘンとは、人里から離れた自然の要塞で、ウィッチャーたちの本拠地です。ゲラルトはケィア・モルヘンでシリを育てることにしました。そこでシリはウィッチャーの修行していきます。ゲラルトを始め、ゲラルトの師匠でもあるヴェセミルに剣術と知識を学びました。そんな中、ウィッチャーたちからの依頼のため女魔術師トリス・メリゴールドがケィア・モルヘンを訪れます。訓練中のシリに出会ったトリスは、シリが強大な力の媒介たる<源流>であると断言します。そしてウィッチャーたちの粗雑な教育にも見かねたトリスは、普通の教育を施すため、シリをエランダーのメリテレ寺院に通わせることを提案します。シリはメリテレ寺院に行きますが、そこでかつてのシントラでの悪夢にうなされる毎日を過ごしていました。そんな彼女の前に現れたのが、かつてのゲラルトの恋人イェネファーでした。そこでイェネファーは、シリに魔法の使い方を教え始めます。はじめは反目し合っていたシリとイェネファーでしたが、徐々に絆が芽生えていきます。
トリス・メリゴールド
ケィア・モルヘンは『ウィッチャー3 ワイルドハント』で何度も登場し、ゲーム序盤の回想シーンで、幼少期のシリとヴェセミル、そしてゲラルトのやりとりが見ることができます。ま、夢でしたが。さらに序盤はそんなに登場しなかったトリスもこのあたりから頻繁に登場します。
ヴェセミルおじさん
アレツザの魔法学校
その後、シリとイェネファーはエランダーの寺院を出て別の目的地に向かう事になります。その目的地は、かつてイェネファーが在籍していた、アレツザの魔法学校。シリにアレツザで魔法の使い方を学ばせようとしていました。しかし、ちょっとした不満から、シリはゲラルトに会いたいと強く思い、その場から脱走してしまいます。しかし、その先にはシリを狙う<リス団>のエルフや、幽鬼ワイルドハントたちが待ち構えていました。命からがら逃げ延びたシリは、彼女を追っていたイェネファーの助けもあって、なんとかゲラルトの元に到着します。かくして、ずっと離れ離れだったゲラルトとイェネファーはここで再会を果たし、3人は揃ってアレツザのあるサネッド島に向かうことになりました。
シリをサネッド島に連れて来たその日は、魔術師たちの大会議が行われていました。そこには帝国側に付く魔術師や、人間を憎み自分達を迫害した北方の人間たちを殺すため二ルフガードに協力しているスコイア=テルという組織、北方諸国側に付く魔術師と北方諸国の中でも強大な国レダニア国の諜報員ディクストラの姿もありました。そこでトランス状態になったシリが、未来に起こることを次々に予言した事をきっかけに、集結していた魔法使い同士が衝突してしまいます。至る所で殺戮が起こり、この騒動でシリとイェネファーは行方不明になってしまいます。様々な混乱の中、ゲラルドの前に立ちはだかったのは、ニルフガードの魔術師ヴィルゲフォルツでした。激しくぶつかり合う2人。しかし、ゲラルトはヴィルゲフォルツに敗北し半殺しにされてしまいます。トリス・メリゴールドに救われ、なんとか一命を取り留める事はできましたが、ゲラルトはしばらく動けない体になってしまいました。
アレツザの魔法学校はNetflixのドラマで、イェネファーが売られていったアソコです。あらすじでは省略しましたが、学園長のあの人も登場したりします。
トゥサンへ
傷を癒したゲラルトは、シリが捕まったとすれば二ルフガード帝国と見当をつけ、親友の吟遊詩人ダンディリオンと共に二ルフガードに向けて出発します。旅の途中で、アヴァラックという謎のエルフと出会います。彼はシリの祖先の秘密を知っているといいます。シリは、古のエルフの賢者 ララ・ドレン・エプ・シードハルの直系の子孫であり、世界とエルフを破滅から救うジルエアエル(ツバメ)で、時空を操る力を持つ≪古き血脈≫の最後の一人である事をゲラルドたちに伝えます。シリを探すゲラルドを否定するアヴァラックを無視し、旅を続けるゲラルドたち。ゲラルドたちは旅を続けていく中で、ドワーフ族の放浪集団のリーダー ゾルダンや禁血中の吸血鬼レジスなど、新たな仲間と出会います。そして一行はアンナ・ヘンリエッタ公爵治めるニルフガード領のトゥサンへと到着します。数ヶ月の間トゥサンを過ごすゲラルト。ある日怪物狩りに出かけたゲラルトは、地下深くに伸びる採掘抗に偶然隠し部屋を発見し、そこに集まったニルフガード軍人らの密談を耳にしてしまう。その話題はシリの話と囚われのイェネファーについてでした。その場所はあの魔術師ヴィルゲフォルツの牙城、スティガ城。直ちに向かうことになりました。
ゲラルトの仲間であるダンディリオンとゾルダンは『ウィッチャー3 ワイルドハント』本編でも登場します。ちなみにダンディリオンはNetflixのドラマではヤスキエルという名前に変わっています。そしてこのトゥサンは、『ウィッチャー3 ワイルドハント』のDLCで追加されるシナリオ「血塗られた美酒」の舞台で、DLCでもアンナ・ヘンリエッタやレジスが登場します。そしてアヴァラックも『ウィッチャー3 ワイルドハント』で重要な存在として登場します。
スティガ城での決着
一方、シリはサネッド島の大乱闘から不思議な力で逃げ出していた後、盗賊団に入ったり、闘技場で殺し合いをさせられたりしながらも、最終的に時空を超える力を開花させていました。だいぶ端折っていますが・・・。そしてこの間に偶然行ってしまった謎の世界で、その世界に住む騎士団ワイルドハントの王エレディンにシリの持つ特別な力を狙われることになります。制御のきかない時空を超える力を使いながら、辛くも逃げ出し、シリが偶然辿り着いた場所はなんとヴィルジフォルツの根城、スティガ城でした。シリはイェネファー救出のため、果敢にも一人正面突破を図ります。しかし、ヴィルゲフォルツの予想外の魔力に打ちのめされ、逆に捕えられてしまいます。
同じタイミングでスティガ城に着いたゲラルトは、仲間のレジスの活躍により、シリとイェネファーと再会します。そしてレジスや多くの仲間を犠牲にしながらも、なんとかヴィルゲフォルツを倒したゲラルト達。安心しかけたゲラルトの所へ、帝国の兵士軍と皇帝エムヒル現れます。シリはなんとエムヒルの実娘であることも判明します。え?どゆこと?となりますが、かつてハリネズミの呪いをゲラルトに解いてもらったダニーとニルフガード皇帝エムヒルは同一人物だったのです。シントラのパヴェッタとの婚姻から海難事故まで全て、シリ(の能力)を手に入れるために仕組まれていたことだったのです。兵士たちに取り囲まれ、ゲラルドはまたシリが連れて行かれてしまうと覚悟しましたが、予想外にもエムヒルはシリを連れて行きませんでした。シリとゲラルトの絆を感じたエムヒルは、ゲラルト達も無傷で解放されます。ようやくゲラルト、シリ、イェネファーは3人で北方へ帰路につきました。
ワイルドハントの王エレディン
ついに登場しましたワイルドハントの王、エレディン。そしてエムヒルがなんとあのダニー。『ウィッチャー3 ワイルドハント』をプレイした後にNetflixドラマを見て、この真相を知るとかなり衝撃です。まじかよ!!
ニルフガード帝国は皇帝エムヒル・ヴァル・エムレイス
そして終幕
本来ならこれで終わりでいいんじゃないかという所で物語はさらに続きます。帰路の途中に通りかかった北方諸国の街リヴィアで、人間たちによる非人間族への虐殺を3人は目の当たりにします。人間ではないというだけで、殺されていく非人間族達を放ってはおけず、虐殺を止めようとゲラルトは必死に騒動に抗います。しかし暴動は収まるどころか激しさを増すばかり。そしてほんの少し前にゲラルトが見逃した人間の青年が、手に持っていた三叉をゲラルトの胸へ目掛けて突き刺しました。ゲラルトはこれで瀕死の傷を負ってしまいます。イェネファーはゲラルトを助けようと魔法で治癒を試みるも上手くいかず、逆に体力を消耗し過ぎてしまい自らも命の危機に瀕します。なんとか2人を助け出そうと、必死に力を駆使するシリ。更に激しさを増す暴動の中、気が付くと3人はこの世界から消えていました。
ここまでが小説のストーリーとなります。おぉ、なんだこのラスト・・・。
小説はこれで一応完結となっています。そしてこの続きはCD PROJEKT REDで制作されたゲームで展開されるわけです。しかも1作目はプレイステーションでもXboxでも、ましてやニンテンドーのハードでもなくパソコンのみでの発売です。なかなかプレイする環境が限られてしまうのですが、どうもポーランドではコンシューマーゲーム機よりパソコンの方がメジャーなようです。そんな国の文化が相まってか、続編はゲームでという事になります。
コメント