仮面ライダーBLACK SUNの全10話の感想《ネタバレあり編》

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前回『仮面ライダーBLACK SUN』を見て、その感想をネタバレなしで伝えましたが、今回はネタバレありの感想をお伝えしたいと思います。



目次

ネタバレありの感想

10月28日からアマゾンの「Prime Video」にて配信された『仮面ライダーBLACK SUN』。全10話の鑑賞を終え、前回はとりあえずネタバレなしの範囲でその感想をお伝えしました。今回はさらに深くネタバレありでお伝えしたいと思います。ここからは『仮面ライダーBLACK SUN』のネタバレの内容を含みますので、これから視聴する人やネタバレが嫌な人はブラウザバックしてください。



 

仮面ライダーBLACKの要素


リブート作品なので元となる『仮面ライダーBLACK』の要素はなにかしらないとリブートでもなんでもなくなりますが、世界観や物語のテーマを考えると、本来のヒーロー物である『仮面ライダーBLACK』の要素は少なめかと思って見ていました。
確かに全然違う作品にはなっているんですが、要所要所で元の『仮面ライダーBLACK』へのオマージュが見受けられました。物語の根源となる「創世王」は存在すると思っていたのですが、「ダロム」「バラオム」「ビシュム」の三神官や「ビルゲニア」まで登場し、それぞれ立ち位置などはもちろん違いましたが、ゴルゴムの要素をうまく取り入れていました。また「創世王」の心臓の存在や「サタンサーベル」など本家の『仮面ライダーBLACK』での重要アイテムも存在し、世界観やテーマが違うにも関わらず、うまく物語に取り込んでいました。また「コウモリ怪人」「クジラ怪人」など、本編でキーポイントになるようなキャラクターも登場しておいて、「クジラ怪人」に関しては「シャドームーン」に倒された「ブラックサン」の復活イベントの中心になるなど、本編を彷彿させるオマージュが結構あって、古くからのファンもニヤニヤしてしまったんじゃないでしょうか。
そして極め付けが最終回。『仮面ライダーBLACK SUN』のオープニングは1話から9話まで基本的にインストゥメンタルのBGMでスタートしていたんですが、最終話にテレビ版のオープニング「仮面ライダーBLACK」が流れ、映像も当時のオープニングを彷彿させるものになっていました。古くからのファンはここでみんなテンション上がったんじゃないでしょうか。

 

容赦ない展開


今回の『仮面ライダーBLACK SUN』の物語を面白くしてくれていたのは、普通の作品ではあまりないような容赦ない展開にあると思います。例えば、メインヒロインとなる「和泉葵」が「ビルゲニア」に囚われて、怪人にされそうになる所で、主人公の光太郎が間に合わず、怪人にされてしまう場面。「いや、そこ普通間に合うだろう」と思わず突っ込みを入れてしまいました。葵が怪人になってしまうのは、その後の物語の展開上、必要だったのですが事前情報を一切見ないで見てたもので、正直驚いてしまいました。
またそんな葵と親しいスズメ怪人の「俊介」について。物語冒頭から登場し、雑なかぶりものをするだけのヘボい怪人だったので、すぐ死んでしまうんだろうなと思って見ていました。しかし思いの他、物語に多くからみ、ゴルゴムを襲撃した際もあの銃弾が飛び交う中、ほとんどの怪人が戻らないにも関わらず、傷を負いながらもなんとか生還。なるほど、この子は最後まで葵を勇気づける存在なんだと納得していた所で、まさか人間にリンチされて死亡。序盤でアネモネに殺されかかっても、ゴルゴムを襲撃しても生き残ったのに「結局死ぬのかよ!」とこれまた突っ込んでしまいました。

 

ヒロインが印象的


ヒロインの「和泉葵」がこれでもかというくらい悲惨な状況になっていくのも他の作品にはない展開だったと思いました。序盤で両親と離れて暮らしている際の生活の面倒を見てくれている姉のような存在を殺され、実の父親は怪人にされた挙句、目の前で殺され、実の母の元に向かったら、自分が怪人にされた後、結局母も殺され、唯一の心の頼りだった俊介も結局殺され、絆で結ばれた光太郎を自らが殺し、自分の父を殺したクジラ怪人(これはしょうがなかったんだけど)と自分を怪人に手術したノミ怪人たちと一緒に生きて行くという、冷静に見てみるとまともな人間では乗り越えられない経験をしまくっています。
最終回でゴルゴムに行ったとき、光太郎や信彦のように変身ポーズをとった時は思わず鳥肌がたちました。そのあとあんまり強くなかったけど。とにかく、『仮面ライダーBLACK SUN』をみて強烈な印象として残っているのは、この葵とそれを演じた平澤宏々路さんという女優さんでした。

 

怪人が多いのが不自然


ここからは見ていてやや気になった感想。この物語の世界観はなんとなくわかるし、「差別」というテーマを扱っているのも分かってはいるんですが、怪人の多さがちょっと説得力にかけるような気がしました。というのも、怪人は先天的なものではなく、人為的に手術しないと存在しないという設定。第二次世界大戦(第一次だったけ?)中の研究から誕生し、その後、子孫に代々受け継がれていったと思いますが、それにしてもその数が多すぎなんですよね。あそこまで大変な手術をしなければ怪人にならないのであれば、もっと少ないような感じがして、少し不自然でした。
他にも光太郎と信彦が特別なのはわかるんですが、そもそもゴルゴムの最初の仲間たちである「ビルゲニア」「ダロム」「バラオム」「ビシュム」たちがなぜ他と違って強いのかや、出生に関してなにもなかったので、彼らがなぜ特殊だったのかも説明が欲しかったです。

 

物語の結末について


正直、雰囲気からハッピーエンドではないんだろうなということは読めてたのですが、主人公の二人が死んで終わるのは、やはりあまり気分がいいとは感じませんでした。さらにその後の世界も創世王がいなくなっても結局差別は変わらないというオチ。差別がなくならない終わりなら、せめて光太郎だけでも生きていて、今後の世界をなんとかしてくれんじゃないか?という若干の希望を残したラストにして欲しかったです。全編通して暗く重たい物語だったので、最後くらい何かしらの希望を見せてほしかったというのが正直な印象です。

 

総評

さて最後にこの作品は面白かったかについてですが、私は個人的にはすごく面白かったです。なかなか重いテーマを扱っていながら、それでも『仮面ライダーBLACK』の要素をできる限り詰め込んでいて、先の気になる物語など、素晴らし作品だと思いました。すごく昔に暗くリアリティに振り切った作品として「真・仮面ライダー」に期待したんですが、結構がっかりな内容だった記憶があるのですが、あの当時に期待したようなクオリティと内容だったと思いました。なので個人的には大満足。
ですが、みんなにオススメできるか?と聞かれると返答に迷います。私のような感覚の方には絶対オススメしますが、鬱展開、グロ描写などが苦手な人にはオススメできないと感じました。
それとネットのあちこちでルー大柴さんが演じた総理大臣が、亡くなった安部元首相を彷彿させて、失礼ではないか?という批判を目にしますが、おそらく安部元首相はあんな人ではないし、あくまでフィクションで名前も寄せてないので私は全然気になりませんでした。それよりもルー大柴さんが食べてたカツカレーがうまそうでした。

発表から待ちに待った『仮面ライダーBLACK SUN』。予想通り賛否両論のようですが、そんな中の一つの感想と受け取ってくれるとうれしいです。

今回は以上です。

 

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