『ククルス・ドアンの島』の安彦監督が泣いた「大西洋、血に染めて」

サブカル

6月3日より全国ロードショー予定の期待の最新作『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』。監督を務めた安彦良和さんが過去に、富野監督が描いたテレビ版の絵コンテを見て泣いたという逸話があります。今回はそんなエピソードの紹介。



安彦監督が泣いたエピソード

前回、『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』について紹介した記事の中に、主人公のアムロの声優を担当した古谷徹さんが、アフレコを『家で練習していて泣きました』とコメントしていたというエピソードを紹介しました。これにより最新作への期待もかなり高まったと思います。そんな最新作を手がけた安彦良和さんが、以前テレビで放送した「ガンダム誕生秘話」という番組で、ガンダムの生みの親である富野由悠季監督が描いた絵コンテを見て泣いたというエピソードを話していました。そのエピソードとはテレビ版の『機動戦士ガンダム』の第28話「大西洋、血に染めて」という回。このエピソードは第26話の「復活のシャア」から登場するキャラクター「ミハル・ラトキエ」が中心となっています。ファーストガンダムでも屈指の名エピソードなので、ファンの間でも有名な回。まずは第26話の「復活のシャア」、第27話「女スパイ潜入!」、第28話「大西洋、血に染めて」を通したこのエピソードをざっくり紹介します。

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第26話の「復活のシャア」

オデッサ作戦を終え、ベルファストに入港したホワイトベース。そのホワイトベースの映像を撮影した一人の少女がジオン軍に送ります。そんな彼女が「ミハル・ラトキエ」。ミハルはジオン軍の人間ではなく、戦災孤児で両親を亡くし、小さな弟と妹を養うため雑貨を売ったりして生計を立ててました。そんな中に連邦軍の軍艦が来たということで、生活のためジオン軍に情報を送ったのです。その情報をキャッチしてしまったのが、赤い彗星のシャア。シャアはこのエピソードで久々にホワイトベースと絡むことになります。送られてきた映像が気になったシャアは部下を通じてさらなる調査をミハルに依頼します。ミハルは物売りとしてホワイトベースに接近。そこでホワイトベースの皮肉屋でガンキャノンのパイロットの「カイ・シデン」と出会います。大したやり取りはなかったのですが、ここで二人が出会いことになります。

第27話「女スパイ潜入!」

後日、連邦軍のやり方が気に入らなかったカイはホワイトベースから出て行こうとしていました。アムロに止められましたが、結局カイはベルファストでホワイトベースを下船してしまいます。そんなカイを見つけたミハルが声をかけます。行く当てがないなら、ウチにこないかと誘うミハル。カイはミハルについて行くことにしました。執拗にホワイトベースの行く先や状況を聞いてくるミハルをカイも不審に思いましたが、小さい弟と妹の面倒を見ているミハルにカイは、ホワイトベースの情報を漏らしてしまいます。そんなミハルの調査力に着目したシャアは、ミハルをホワイトベースに潜り込ませ、スパイをするように指示します。

連邦軍の制服を与えられたミハルは、ジオン軍の攻撃の隙をついて、ホワイトベースに潜入します。一方、カイは劣勢のホワイトベースを見て、いてもたってもいられなくなり、ホワイトベースに戻り、援護することで再びホワイトベースのクルーに戻りました。戦いと補給を終えたホワイトベースはベルファストから出航しました。女スパイを乗せて。

 

第28話「大西洋、血に染めて」

ミハルは艦長室に侵入し、ホワイトベースの行き先の情報を得ようとしましたが、ブライトさんを呼びに来たカイが偶然にも艦長室にきてしまいます。そこでミハルはカイに姿を見せます。驚いたカイですが、ミハルの事情もしっていたため、彼女を匿うことにします。海上を移動中のホワイトベースに、シャアの部隊から攻撃がありました。水中からの攻撃に苦戦するホワイトベース。アムロもガンダムで出撃していましたが、新型モビルアーマー「グラブロ」に苦戦していました。その頃ミハルは攻撃で揺れる船内で、カツ、レツ、キッカが消化器を運ぶなど戦いに参加してる姿をみて、動揺していました。一方、ホワイトベースは水中からの攻撃でカタパルトを破損。カイは対潜ミサイルを積んだ輸送機のガンペリーで出撃することになりました。その前に「救命具を付けていろ。死んじゃあ、何にもならねえんだから」とミハルの所へ顔出します。するとミハルは「私のせいなんだ…私が情報を漏らしたばっかりに、カイさん達が…」と泣き出し、自分にも協力させてほしいとカイに言います。自分の弟と妹と変わらない子供達の姿をみて、いてもたってもいられなくなりました。カイは危険だということで拒んでいましたが、ミハルの熱意に負けて、ガンペリーはカイが操縦し、ミハルがミサイルを撃つ担当として同乗することになりました。しかし、ミハルがミサイルを発射するものの命中しません。

標的はジオンの水陸両用モビルスーツ「ズゴック」。しかしガンペリーは逆にズゴックからの攻撃で、被弾してしまいます。その影響で、ミサイルの発射ボタンが故障します。下のコンテナデッキに直接発射できるボタンがあるとカイが告げると、ミハルは急いで下のデッキに向かいます。ズゴックの攻撃により揺れる機内を、ミハルはよろけながら発射装置にたどり着きます。するとズゴックは浮上してきました。「カイ、向こうから来てくれたよ」と言いながら、ミハルは発射ボタンを押します。次の瞬間、ミハルはミサイルの爆風によって飛ばされてしまい、ガンペリーから落ちてしまいました・・・。発射したミサイルはズゴックに命中し撃墜することができました「やったあ!ミハル、やったぞ!」喜ぶカイ。ガンダムもなんとかグラブロを撃墜し、クルーはホワイトベースに帰還します。
「ミハルがいなくなった?誰なんだ?」というブライトさん。泣きじゃくるカイ。哀しむカイを見て、「密航者だったのです」と沈黙を破ったのはアムロでした。ミハルとの回想を思い出し、泣き崩れるカイ。「あんたとは会えて良かったと思うよ。ジルとミリーかい?あの子達なら大丈夫さ。私よりずっとうまくやっていけるって。いつまでもこんな世の中じゃないんだろ?ね、カイ」カイだけに聞こえるミハルの声に泣き崩れたまま、このエピソードは終わります。

このエピソードの絵コンテを見て、『ククルス・ドアンの島』の監督で当時キャラクターデザインと作画監督をしていた安彦良和さんが泣いた姿を見て、当時作画を担当していた板野一郎さんがどんなエピソードなのかこっそり盗み見て自分も泣いたという話をテレビで語っていました。もしかしたら『ククルス・ドアンの島』の成功次第では、この「大西洋、血に染めて」もリメイクされるかもしれませんね。この一連のエピソードはテレビ版だけじゃなく劇場版『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』でも見ることができます。ちなみにミハルの声優さんの間嶋里美さんは古谷徹さんの奥さんだったりします。アムロの嫁さんがミハル。カイもびっくりです。



 

ミハルの弟と妹

さて『機動戦士ガンダム』という作品はその歴史の長さから、様々な外伝やパラレルストーリーがあります。そんな中、『機動戦士ガンダム』の続編となった『機動戦士Zガンダム』に登場する悲劇のヒロインで人気キャラクターの「フォウ・ムラサメ」というキャラクターがいます。まあ、ファーストガンダムでいう所の「ララァ」ポジションです。そんなフォウにスポットを当てた小説『フォウストーリー そして、戦士に…』という作品があるのですが、この作品は強化人間となったフォウが、ムラサメ研究所でどのように強化人間になっていったかというお話なのですが、なんとこの物語にミハルの弟「ジル・ラトキエ」が登場しています。ジルはムラサメ研究所に拾われ強化人間の被験者(被験者番号005)となっています。そしてサイコガンダム試作8号機の実験台となり、実験中に死亡してしまった・・・というなんとも言えないエピソードがありました。が!これは公式設定というわけではないとのことなので、悲しい思いをした人は安心してください。
一方、『ククルス・ドアンの島』で監督を努めた安彦良和さんのファーストガンダムの漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、外伝「アルテイシア 0083」にて、セイラさんの口からジルとミリーの名前のみ登場し、孤児園に入らず家を守り続けるジルとミリーをセイラさんの財団が見守ってゆくことがカイに告げられます。安彦さん作のエピソードですし、こちらの方が幸せな結末なので、『THE ORIGIN』とは言え、こちらが公式になるといいですよね。

アニメ?漫画?『ガンダム』と『ジ・オリジン』関係がわからない人へ
これまで何度も『機動戦士ガンダム』について、本ブログではいろいろと紹介してきましたが、今回はこれまでちゃんと紹介してこなかった『機動戦士ガンダム THE ORIGIN(以下:ジ・オリジン)』についてご紹介します。この『ジ・オリジン』はアニメにもなっていて、ガンダム作品をよくわかっていない人は少し混乱するかもしれませんので、順を追って、ファーストガンダムであるアニメ版の『機動戦士ガンダム』との関係性についてご紹介してきます。

今回このエピソードをあえて紹介したのは、『ククルス・ドアンの島』のように、ファーストガンダムにある名エピソードがリメイクされるのではないか?と思ったためでしたが、安彦さんが「ガンダムを映像で作ることはこれで最後」と発言していたので、実現は難しそうですね。個人的には他にも第14話「時間よ、とまれ」なんかもすごく好きです。

今回は以上です。

 

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