前回、第2部の最終回を終えた『境界戦機』の感想を紹介しました。いろんな所で動画を見ることができるようですが、サクッとストーリーを知っておきたい人のため、今回は『境界戦機』第2部のネタバレストーリーを紹介します。それなに端折ったのですが、今回少し長くなってしまったので、前編、後編の2回に分けて紹介します。今回は前編。なお、以前第1部のネタバレも紹介していますので、気になった人はそちらから読んでください。
目次
8ヶ月後
隠岐の島の戦いで「ゴースト」を止めるため、操縦していたAMAIM(アメイン)の「ケンブ」の爆散とともに消えた主人公の「椎葉アモウ」と相棒の自律思考型AI「ガイ」。
あれから8ヶ月が過ぎました。この8ヶ月の間に「ゴースト」を入手した北米同盟の技術は発展し、自律思考型AI搭載機を実戦に投入してきました。その影響力は大きく、北米同盟は日本における支配領域を大きく拡大させ、治安維持の名のもと日本人への弾圧を強めていました。レジスタンス組織、八咫烏のメンバー、「鉄塚ガシン」や「紫々部シオン」はアモウがいなくなった今も戦い続けていました。彼らのAMAIMは少し前まで自律思考型AIの高性能のおかげで、他国のAMAIMと大きく差をつけていましたが、同じく自律思考型AI搭載機を投入し、数を揃えてきた北米同盟に苦戦していました。有人機に乗る北米同盟の隊長のブランク大尉は、卑劣な方法を使い、八咫烏やレジスタンスたちを追い詰めていきます。部隊が危機に陥り、そして民間人にまで手をかけようとしたその時、この戦場の状況を変える強力なAMAIMが出現しました。
その外見はかつてアモウが操縦していたケンブを思わせましたが、性能はまるで違っていました。一気に北米軍を壊滅状態にし、戦いは一度終わります。
ケンブ斬
この新型AMAIM「ケンブ斬」に乗っていたのはやはりアモウとガイでした。二人とも無事だったのです。あの戦いの後、以前八咫烏に所属していた女性整備主任の「槙 ミスズ」に救出された二人は、そのまま「トライヴェクタ」という組織の本拠地に連れていかれていました。ミスズの正体はガイたちI-LeS(アイレス)の開発元であるAI開発機関「トライヴェクタ」の代表兼技術主任でした。ミスズからは8ヶ月前の戦いのあと、アモウとガイの救出を最優先とし、アモウとガイの本拠地へと避難させたのでした。そしてミスズからは以前戦ったゴーストに搭載されたAIユニット「プロトタイプゼロ」こそが自律思考型AIのプロトタイプであり、ガイたちはその開発結果をもとに作られた兄弟であることも明かされます。
アモウの変化
アモウは久々にガシンやシオンと再会するも、口数は少なく、感情が薄いようでした。同じI-LeS仲間の「ケイ」と「ナユタ」はガイに8ヶ月の間になにがあったのか問いただしましたが、ガイはアモウとの約束で言えないと決して口を開きませんでした。そして再会もつかの間、あのブランク大尉が戦力を1.5倍にしてまた攻め込んできました。しかし、アモウのケンブ斬だけではなく、前回追い詰められたガシンの「ジョウガン」やシオンの「レイキ」もミスズの整備やバージョンアップのおかげで、北米軍を追い詰めていきます。そしてついに隊長機、ブランク大尉の機体を戦闘不能にまで追い込んだアモウは、ブランク大尉に「もう自分たちを追ったり人々を傷つけないよう約束するなら攻撃しない」と警告をしましたが、ブランク大尉はこれを拒絶しました。
その瞬間、アモウはためらいもせず、ケンブ斬のブレイドでブランク大尉の機体のコクピットを貫きました。戦いには勝利しましたが、8ヶ月前のアモウとの違いに戸惑うガシンとシオンでした。
ブラッドとアレクセイ
「ゴースト」を手に入れた北米同盟の「ブラッド・ワット」大尉は、自律思考型AIの有用性を北米同盟にアピールし、開発予算を増やせるように働きかけます。ブラッドの発言に魅了される人がほとんどの中、一人「ロイ・ウォーカー」という議員だけは反対していました。その後、ブラッドは自らの機体にゴーストを搭載し、戦場に現れます。対するは大ユーラシア連邦の「アレクセイ・ゼレノイ」少佐。かつてアモウたちと戦った人です。お互いに優秀な指揮官でパイロットですが、ゴーストを搭載した「ブレイディファントム」にアレクセイは圧倒されてしまいます。
トライヴェクタ
そしてガシンはアモウに8ヶ月の間に何があったのかを問います。一向に話さないアモウにガシンは「俺たち、友達じゃねえかよ……!」と決して日頃言わないセリフを口にしました。ケイが「アモウ、ガシンにここまで言わせたんだぞ」とAIながらガシンの気持ちを後押しします。さすがのアモウもガシンとシオンに8ヶ月の間経験した事柄を語りました。
姿を消した8ヶ月の間、アモウはトライヴェクタの施設職員の子供の世話しながら、警備を務める民間軍事会社の訓練への参加を志願し望んで自らを鍛えようと八咫烏への復帰へ前向きでした。ガイとともに早く成長し、ガシンたちとの合流することを目指していました。しかし、そんなトライヴェクタが謎の敵の襲撃を受けます。AMAIMではなく、生身の人間からの襲撃にただ恐怖するアモウ。しかし、敵の魔の手はアモウと仲良くなった子供たちにまで及びそうな時、アモウは護身用に渡されていた拳銃で敵の兵士を射殺しました。そんなアモウに対する子供たちからの恐怖の眼差しと、敵兵士の死ぬ時の顔、何より前向きだったはずの自分があまりに無力であったことが惨めに感じ、かつて掲げた目標「知らない誰かを守りたい」というものがあまりに儚く感じたのでした。
トライヴェクタを襲撃させたり、ミスズから「プロトタイプゼロ」を奪いゴーストを作り上げたのが、かつて八咫烏へ武器を販売していた「ジェルマン・ゴベール」でした。ジェルマンは4大経済圏の最大手である北米同盟に売り込むために、プロトタイプゼロを手土産にブラッドに接触しました。その後、ブラッドとジェルマンは秘密裏にこの境界線を思いのままの戦場へとしてきたのです。さらにジェルマンは北米軍の上層部、副司令を務める「ジョウ・スピアーズ」とも裏で繋がっていました。スピアーズはブラッドの義理の父でもあります。
日本人保護区
アモウに何があったのか知ったガシンたち。一見、変わってしまったアモウでしたが、実は何も変わっていませんでした。ただ少し迷いのようなものが生まれながらも、戦うという事の意味を知り、それを実行できるようになりましたが、まだ受け入れられないといった複雑な感じでした。
そんな折、ガシンがユウ兄と呼ぶ「末永ユウセイ」が八咫烏にコンタクトを取ってきました。アジア協商圏内の日本人自治区の区長を務める彼はその独自のネットワークから、ユーラシア連邦にある日本人保護区の危機を知りその救援を求めてきたのです。
保護区を襲うのはもちろん北米同盟。そして北米同盟の中でも特殊な立場にいる「ザック・テイラー」という男でした。彼はゴーストの基本プログラムを使用したAI搭載の無人機部隊でアモウ達を仕留めようとしていました。戦闘開始時には苦戦したアモウたち。複数のゴーストなら勝てるという目論見だったザックでしたが、実際は学習プログラムの欠如や機体性能差から、アモウたちは一気に逆転していきます。ザックが率いた無人機隊はゴーストに似てはいましたが、オリジナルとはまるで別の性能でした。当初こそ混乱もありましたが、結果アモウたちが圧勝して戦闘は終わります。そして隊長機のザック機に薙刀で追い詰めたのはシオンのレイキでした。シオンは、自分もアモウがブランク大尉を殺したようにしなければと考えます。「シオン・・・いいんだ」躊躇していたシオンをアモウが止めます。勧告に素直に従いザックは逃走しました。
北米同盟を撃退し、保護区へ戻ったアモウは戦闘中に生 まれた赤ん坊と対面しました。小さくとも温かな手を持つれっきとした人間。「誇ってもいいぞ、アモウ。お前が守った命だ」ガイの言葉に、アモウの目に涙があふれます。トライヴェクタでの事件以降の迷いが消えた瞬間でした。「二人とも、今まで色々と心配かけてごめん。……ありがとう」ようやくアモウの中の霧が晴れ、かつての3人に戻れた瞬間でした。
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