6月26日の夜9時からフジテレビ系列にて放送された『世にも奇妙な物語’21 夏の特別編』にて、弾丸が飛んでいく描写で、薬莢ごと打ち出されたCGが描かれたという事で、話題となっています。
『世にも奇妙な物語』は、1990年から放送されているタモリさんがストーリーテラーを務めるオムニバス形式のドラマです。毎回各ストーリーの主役の俳優さんも話題となっている人気ドラマ。個人的には『トワイライトゾーン』の日本版のイメージですね。毎回それこそ奇妙な物語が描かれ、中には超名作とまで言われているエピソードもあり、リメイクまでされたりもしています。今回問題となったのが、吉瀬美智子さんが主演となる『あと15秒で死ぬ』というエピソード。声優の梶 裕貴が死神に扮して、俳優として出演するなど、放送前から話題となりましたが、物語の中で吉瀬さんが殺されてしまうシーンのCGで描かれた弾丸が、薬莢のまま飛んでいて、ネットでは突っ込みが殺到しています。
何が変なの?という人のために
「このシーンの何が変なの?」という人も中にはいるでしょう。なんていったって、CGで描いちゃう人がいるわけですから!実際の銃の弾丸は下の図のような仕組みになっていて、よく見るいわゆる『銃の弾』はそれがまるごと飛んでいくわけではなく、先の部分のみが射出されます。本体の部分は『薬莢』という部分で、ここに火薬が入っていて、先にある弾丸を射出する仕組みになっています。下の動画がわかりやすいと思います。なので今回の『世にも奇妙な物語』で描かれたCGは、解釈としては間違いという事になります。
日本ではなかなか銃や弾丸は日常では見られないので、しょうがないといえば、しょうがないのですが、これぐらいの知識だとガンマニアではなくも、知っている事なので、こうゆう描写はツッコミの対象になってしまいます。せっかくのドラマ主演で、頑張って演技している梶さんが、その格好も相まってシュールな1コマになってしまいました。さらに突っ込むと撃っている銃はライフルなのに小口径の銃弾だったりと、銃に関する描写が雑に感じますね。見ていてストーリーは面白く、私の好みの物語だったので残念です。
他にもあった銃の知識不足な作品
同じような感じで、“銃の知識不足”として割と話題となったアニメ作品があります。それは2018年7月より同じフジテレビのノイタミナ枠にて放送された超人気作品『BANANA FISH』。原作は少女マンガにも関わらず、私でも読んだことがあるほどの人気作品で、ダウンタウンのストリートキッズが中心の物語なので、必然的に銃の描写があるのですが、アニメ版ではその知識不足から、物語にでてくる拳銃を、モデルガンやエアガンとして描かれてしまいました。問題となったシーンは以下の2つのシーン。
詳しくない人からしてみれば、どこがおかしいのかわからないと思いますが、まず上の奥村英二が構えているガバメントは、銃口にインナーバレルが描かれています。これはエアガンのBB弾用のもので、実際の銃には存在しない穴です。
また2枚目が一番大騒ぎとなったんですが、ケースにしまわれているリボルバーの拳銃は、6発装填する物なのですが、一緒に収納されているスピードローダー(弾丸を速く装填するための器具)が5発用になっています。つまりこのスピードローダーはこの拳銃には使用できません。そして最も残念だったのが、刻印されている「SMG」の表記。これは「52年度規制」適合を表すもので、1977年(昭和52年)の銃刀法改正によってモデルガンの構造に対する規制に適合した商品には、この「SMG」という刻印がされています。つまりモデルガンじゃないとこんな刻印ありません。
おそらく、資料として手元にあったエアガンやモデルガンを見ながらの作画だっと思われますが、実際の銃には無いものまでしっかり描いてしまって、当時ネットで突っ込まれまくってました。丁寧な作画なので、よりわかりやすくなってしまいました。当時、こういった指摘に揚げ足取りとか、細かいとかいろいろな意見もありましたが、今や日本のアニメ作品は世界中で見られていますし、『BANANA FISH』は大変人気のある作品なので、どんな作品を制作するにしても、ある程度は専門家の意見なども重要だと思います。
『世にも奇妙な物語』も『BANANA FISH』もどちらも人気作品で、どちらの作品も私個人としては大好きです。それだけにこういった部分がもったいないですよね。今回の『世にも奇妙な物語』での薬莢のシーンは、真面目なシーンでも人によっては、この薬莢のせいでコメディーに見えてしまうような描写だったので、すべてを完璧に作るのは難しいとは思いますが、注目する人が多い作品なだけに、頑張ってもらいたいと感じました。今回は以上です。
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