2021年に最新作である「劇場版マクロスΔ(デルタ) 絶対LIVE!!!!!!」の公開が決定し、いまだ人気の衰えない『マクロスシリーズ』。割と最近の作品である『マクロスF』からマクロスシリーズを視聴している人が結構いて、作品内にでてくる巨人や異星人などと地球人の関係性についてわからない人がいるみたいです。根本は一作目を見れば大体わかるということは前回の記事で説明しました。
今回はさらに補足としてマクロスシリーズの特徴である3大要素『可変戦闘機』『三角関係』『歌』を簡単なあらすじとともに、それぞれの作品ごとにご紹介します。いろいろ書いていたら長くなってしまったので、2回に分けてご紹介します。今回は前編。
目次
『超時空要塞マクロス』
記念すべき第1作目の作品。詳細は前回の記事で書いたので、ここでは簡単に紹介します。1982年に毎週日曜日の14時に放送され、後に劇場版として映画化もされました。この作品がその後、同じシリーズのみならず他の作品にも与えた影響は凄まじく、特にアニメ内の「架空のアイドルキャラクター」というジャンルを作り上げ、現在ではさらに進化しながら、そのジャンルは成長し続けています。この第1作目ですでにマクロスの3大要素『可変戦闘機』『歌』『三角関係』は確立されていて、むしろこの作品でこの3要素があったからこそ、その後のシリーズにも生かされていっていると思います。
ざっくりストーリー
突如宇宙より巨大な物体が地球に飛来しました。その物体は全長1,200mを越える宇宙戦艦でした。この宇宙戦艦の調査により異星人の実在と彼らが戦争を行っていたこ事を知った人類は、宇宙からの脅威への対策として地球統合政府を樹立し、飛来したきた巨大な宇宙戦艦を改修し「マクロス」と命名しました。そしてマクロス進宙式当日、地球付近に異星人である「ゼントラーディ軍」の艦隊が出現します。その存在を感知したマクロスは、主砲システムが勝手に作動してしまい、なんとゼントラーディ軍の戦艦群を撃破してしまいます。実はこのマクロス自体がゼントラーディ軍と敵対していた「監察軍」という軍が仕掛けたブービートラップでした。人類はその意思に関係なく異星人との戦争に巻き込まれることとなってしまいます。ゼントラーディ軍の包囲網から逃れるため、マクロスはフォールド航行(ワープ)により月の裏側への脱出を図りますが、制御に失敗し南アタリア島一帯を巻き込んだまま、冥王星軌道付近に到着してしまいます。
そんな最中、先輩であるロイ・フォッカーに進宙式へ招待されていたアクロバット飛行のパイロット一条輝は、混乱の中で偶然にも統合軍の最新鋭機バルキリーを操縦することになります。襲い来る敵兵からバルキリーでリン・ミンメイという少女を助けることになり、マクロスのフォールド事故に巻き込まれ、そのままマクロスに乗艦することになります。
マクロスは例のトラブルでフォールドシステム自体が消失してしまっていて、通常の航行のみでの地球への長い帰還の旅を強いられることになりました。フォールドの際、巻き込んだ南アタリア島住民5万8千人はマクロス艦内に街を再建し、戦争の傍らで普段の生活を営んでいました。ミンメイと親しくなった輝は彼女を守るため軍に入隊し、可変戦闘機「バルキリー」の正式なパイロットとなります。しかし、ミンメイは艦内で人気アイドル歌手となり、輝にとっては次第に遠い存在になっていきます。一方でいつも喧嘩ばかりしていた上官である早瀬未沙の存在が少しずつ大きくなっていきました。やがて、戦いの中でゼントラーディ人が遺伝子操作により人種改良された、生まれつき戦うことしか知らない戦闘人種であり、地球人を「文化」を持つ人種「プロトカルチャー」と恐れていた事などが次第に判明します。文化を恐れる巨人、戦闘民族のゼントラーディと戦いながらもマクロスは一路、地球を目指します。
登場バルキリー:VF-1 バルキリー
当時のメカファンの度肝を抜いたデザインとギミックを持つバルキリーはもちろん一作目から登場します。後に監督も務める河森正治氏がデザインを担当。基本的には全部で4種類登場します。隊長機であるVF-1S。輝が物語前半に乗っていたVF-1J。輝の部下であるマックスや柿崎、他の一般兵が搭乗するVF-1A。物語の最序盤で輝が乗ることになった副座式のVF-1D。基本すべて同じなのですが、カラーリングや頭部の形が変わります。物語後半ではフォッカーが乗っていたVF-1Sを輝が引き継いで使用します。
『超時空要塞マクロス』の三角関係
元祖三角関係は、主人公の輝、ミンメイ、未沙による三角関係。テレビ版でもその様子は描かれていましたが、映画版ではより三角関係が象徴されています。ちなみにマクロスシリーズでは三角関係に決着がつかない事もあるんですが、本作ではテレビ版も映画版も同じ結末で決着がつきます。
一条 輝
第一作目の主人公。民間のスタントパイロットであったが戦闘に巻き込まれ、地球統合軍に入隊。可変戦闘機バルキリーのパイロットとして成長していきます。ミンメイに惹かれていましたが、徐々に未沙の存在も気になりだしていきます。
リン・ミンメイ
宇宙戦艦マクロスの進宙式を観ようと遊びに訪れていた南アタリア島で、異星人との戦いに巻き込まれてします。その時に輝に助けてもらい、ともにマクロスに乗艦し、艦内に収容された市街地に住むことになります。やがてマクロス内で行われたミスマクロスコンテストで優勝し、アイドルとしてデビューすることになります。
早瀬 未沙
マクロスの主任航空管制官。進宙式からゼントラーディ軍との宇宙戦争に巻きこまれます。階級は中尉。厳格な仕事ぶりから「首席の中尉は鬼より怖い」と呼ばれ、自分を「おばさん」呼ばわりし、なおかつ反抗的なパイロットの輝とはしばしば口論になっていました。ともにゼントラーディ軍の捕虜になった時を期に輝のことが気になり始めます。
『超時空要塞マクロス』の歌
歌に関してはヒロインであり、アイドルとしてデビューするリン・ミンメイが担当。アニメ作品のキャラクターが作中で歌う歌が有名になったのは、この作品が元祖です。ミンメイの歌で有名なのは、テレビ版では『私の彼はパイロット』、劇場版では『愛・おぼえていますか』。この2曲に関しては、以降のマクロスシリーズでも度々登場する歌です。
劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』
テレビ版の好評を受け、テレビシリーズを再構成して1984年に公開された劇場版。完全新規作画の作品になっていて、テレビ版の重要なエピソードをうまく1つにまとめています。ストーリーの大まかな流れはテレビ版と同じですが、細かい設定などが若干異なっています。テレビ版を含め、この作品でその後のマクロスシリーズの基盤を作ってるのは、マクロスシリーズの3要素以外にも、設定面が非常に大きいです。この作品で地球人と敵対するゼントラーディ軍が巨人であることや、遺伝子操作により人種改良された事、文化をもたなかった事などが重要で、クライマックスでミンメイの歌により敵にカルチャーショックを与え、その隙に攻撃を仕掛けるという作戦を実行に移し、勝利を収めます。その後、ゼントラーディとは和平が成立し、人類と共存していく事になります。その設定は後のシリーズでも生かされていて、何かしら巨人やゼントラーディ出身のキャラクターが登場します。どの作品を見るにしても、やはりこの第1作目は見ていた方がその後のシリーズが理解しやすいと思います。基本的な内容は、テレビ版も映画版もかわらないので、サクっと映画版を見て他作品を見てみてはどうでしょうか。
『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』
『超時空要塞マクロス』誕生10周年記念作品として制作された全6話のOVA作品。前作のメインスタッフはあまり参加していなくて、後に制作される『マクロスプラス』や『マクロス7』の設定とも一致しない事が多く、一度はパラレルワールドと位置付けて紹介された事もある作品。『マクロスF』や『マクロスΔ』よりもさらに未来が描かれているのですが、登場するバルキリーもVF-2SS バルキリーIIとなっていて、現在の最新作のバルキリーがVF-31なので、数字的にもいろいろ整合性が合わなく、さらに第1作目でバルキリーのデザインを手掛けた河森正治デザインでもありません。しかし、後に正式なシリーズという事も発表されたりと、右往左往している謎な作品。主人公が民間人で記者、ヒロインがバルキリーのパイロットとなんとなく受け入れづらい設定でもあるので、私個人としてもあまり好きではない作品ではあります。ま、一応正式なシリーズという事なので、気になる人はシリーズの一番最後に見た方がいいかもしれまん。
ざっくりストーリー
舞台は前作の80年後、木星軌道上に異星人とおぼしき未確認艦隊がフォールドしてきました。地球統合軍はこれをはぐれゼントラーディ艦隊と認識し、かつての戦いのように歌によるカルチャーショックを与えるべく「オペレーション・ミンメイ(ミンメイディフェンス)」で迎え撃ちます。戦闘開始時こそ、その効果を発揮したのですが、敵艦隊も謎の歌を発生させてきます。その歌の影響で敵の攻撃は激しさを増していき、統合軍は敗北してしまいます。そんな混乱の戦場を取材中だったテレビレポーターの神崎ヒビキは、統合軍の攻撃によって轟沈寸前だった敵の艦内から歌巫女のイシュタルを救出し、彼女を地球へ連れて帰ります。イシュタルはヒビキと地球の文化に触れていき、戦い以外のことを知るようになります。その後ヒビキは一度、敵艦に捕らわれ、その際にこの新たな敵「マルドゥーク軍」が戦いの歌によってゼントラーディ兵を服従させてきたことを知ります。敵艦から逃れたヒビキが統合軍のパイロット、シルビー・ジーナとともに奔走する一方、地球の文化に触れたイシュタルは戦いを止めるべく、戦場へ愛の歌を捧げます。
登場バルキリー:VF-2SS バルキリーII
名機であるVF-1 バルキリーの発展形である統合軍の主力可変戦闘機。宇宙空間専用機で、通常装備として対艦攻撃用レールガン1門を搭載したスーパーアームドパック (SAP) を装着するほか、支援用の自動攻撃兵器スクワイアーも装備します。デザイン的にはVF-1の延長的なデザインになっています。河森正治デザインではないバルキリーです。
『超時空要塞マクロスII』の三角関係
『マクロスII』では主人公のヒビキとヒビキが敵艦から連れてきた少女イシュタル、それとバルキリーのエースパイロットのシルビーの三角関係。この作品でも決着がつきます。
神崎ヒビキ
テレビ局「SNN(スクランブル・ニュース・ネットワーク)」所属の芸能レポーター。『マクロスシリーズ』で唯一バルキリーに乗らない主人公(報道用のガウォークにしかならない変なバルキリーにはのります)。対マルドゥーク戦の取材に関わることになり、イシュタルやシルビーと出会い、真実を隠蔽する地球統合軍への反発から、報道者としての使命に目覚めていきます。
イシュタル
マルドゥーク軍の「歌巫女(イミュレーター)」。歌でゼントラーディ兵を戦闘に駆り立てる役を務めていたが、ヒビキにより地球に導かれ、それまで触れてこなかった「文化」に衝撃を受けます。やがて戦闘とはまったく関係ない歌の素晴らしさを知っていくことになります。
シルビー・ジーナ
バルキリーIIに搭乗し、バルキリー隊「フェアリー・リーダー」を率いる統合軍のエースパイロット。天才的技量を持っていますが、日常的な少女らしさも秘めています。密会現場をスクープされて以来、ヒビキと反目しますが、戦いを通じて心を通わせあっていきます。
『超時空要塞マクロスII』の歌
『超時空要塞マクロスII』で、最終的にイシュタルも印象的なシーンで歌を歌うのですが、この作品ではヒロインであるイシュタル以外にも、ウェンディー・ライダーというアイドル歌手がいて、このウェンディーの歌がやたら印象に残っています。その中でも印象的なのが「バルキリーで誘って」という歌。のちに『マクロス7』でもこの歌が出てきます。いい曲は多いのですが、第1作目ほど有名な曲はありませんでした。
『マクロスプラス』
『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の監督を務めた河森正治を中心に、1994年にマクロスの後継作としたテレビアニメ『マクロス7』と並行して企画・制作されたOVA作品。マクロスIIとは違って第1作目の『超時空要塞マクロス』と直結する続編となっています。本編中にも「私の彼はパイロット」の曲や、「ロイ・フォッカー勲章」など第1作目の要素がふんだんに使用されています。この作品のメインとなるストーリーはバルキリーの時期主力機の競合で、それぞれの新型に今作のメインキャラクターが搭乗します。この作品は男性2名と女性1名の三角関係。他の作品と違って割と大人な恋愛が描かれています。何よりこの作品に登場するバルキリー、YF-19がめちゃくちゃかっこいいし、戦闘シーンは全マクロスシリーズの中で一番こっているのではないでしょうか。後に放送されたテレビシリーズ『マクロス7』と設定的に共通な部分が多く、合わせて見ると面白いです。第1作目のあとに視聴するならこの作品をオススメします。
ざっくりストーリー
地球とゼントラーディによる宇宙戦争の終結から30年後、移民惑星エデンにあるニューエドワース基地では、統合宇宙軍の次期主力可変戦闘機の採用コンペティション「スーパー・ノヴァ計画」が行われていました。競合メーカー2社が開発した試作可変戦闘機には、YF-19にはイサム・ダイソンが、YF-21にはガルド・ゴア・ボーマンがテストパイロットとして搭乗していました。実はかつては親友であったイサム・ダイソンとガルド・ゴア・ボーマン。幼馴染の二人は、7年前のある事件をきっかけに、その関係は対立するようになっていました。二人は偶然にも幼なじみの音楽プロデューサー、ミュン・ファン・ローンと再会します。競合で競い合いながら、さらにミュンをめぐってイサムとガルドの戦いは激しさを増していくのでした。
登場バルキリー:YF-19(イサム機) YF-21(ガルド機)
物語のメインが次期主力機の競合なので、バルキリーがメインの作品になっています。ちなみにバルキリーというのは俗称で、本来バルキリーと呼べるのは第1作目に登場したVF-1のみ。ただ、VF-1からの流れで、可変戦闘機はバルキリーという俗称ですでて呼ばれることになります。YF-19とYF-21はまだ正式採用前なので形式番号が『VF』ではなく『YF』となっています。YF-19は前進翼になっていて、常人ではなかなか使いこなせないという設定。変形ギミックはVF-1以上に複雑になっています。一方のYF-21はバトロイドになった時がゼントラーディ人が使用していたクァドラン・ローのようなデザインになっています。どちらもデザインは河森正治氏が担当。元祖バルキリーのデザイナーがもどってきました。どちらもVF-19、VF-22となって『マクロス7』に登場します。他にもイサムは序盤にVF-11Bサンダーボルトにも乗っています。こちらもVF-11Cとなって『マクロス7』に登場します。
『マクロスプラス』の三角関係
イサムとガルドがミュンを取り合う構図になります。なんですが、イサムは他所でも別の女性にちょっかいだしたりしてもいます。この作品でも三角関係にはしっかりとした決着がつきます。
イサム・ダイソン
本作の主人公。テストパイロットとして新星インダストリー社の新型可変戦闘機YF-19を担当する。ガルドとミュンとは旧知の仲。腕前は超一流であり、エースパイロットの証「ロイ・フォッカー勲章」を3度受章しているが、自由奔放な性格で軍規違反を繰り返し、前述勲章を3度とも剥奪されるほどの問題児でもある。統合軍内をたらい回しにされ、辺境でゼントラーディ残存兵と戦っていたが、テストパイロットを何人も病院送りにした「じゃじゃ馬」YF-19のテストパイロットとしてエデンへと戻ってきた。
ガルド・ゴア・ボーマン
ゼネラル・ギャラクシー社の開発主任兼テストパイロット。新型可変戦闘機YF-21を担当する。沈着冷静だが、イサムとは意地を張りあうライバル同士。ゼントラーディと地球人の共存により生まれた混血児で、遺伝により明晰な頭脳と屈強な肉体を具えている。
ミュン・ファン・ローン
イサムとガルドの幼馴染み。幼少より歌を愛し、歌手になることを志していた。ハイスクールのマドンナ的存在だったが、ある事件をきっかけに地球に渡り、一度は歌を捨てる。7年後にシャロン・アップル・プロジェクトのプロデューサーとしてエデンに戻り、イサムとガルドとの恋の板挟みで苦悩する。
『マクロスプラス』の歌
人工知能のヴァーチャル・アイドル「シャロン・アップル」が歌を担当。ヒロインのミュンがプロデューサーとなっています。他の作品とは違い、いわゆる敵側につく歌姫。そのせいか幻想的な楽曲が多くなっています。シャロンは作品世界内で仮想現実上の存在と認識されながらも、人々から熱狂的な支持を受けているという点から、現実世界の21世紀に出現する「初音ミク」の流行を予言していたかのようだという見方もあるそうです。代表的な歌はシャロンというよりミュンが歌っていた『VOICES』ではないでしょうか。
劇場版『マクロスプラス MOVIE EDITION』
1995年に公開された劇場版。基本的な内容はOVAのストーリーと同じですが、前後が入れ替わっていたり、新作カットが追加されたりしています。ちなみにこの映画では、『マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』との併映されました。
『マクロス7』
1994年に全49話で放映されたテレビアニメ作品。OVA『マクロスプラス』と並行して制作されました。前作から35年後の世界を描いており、『超時空要塞マクロス』からも一部のキャラクターも登場するなど、直接的な繋がりは『マクロスプラス』より更に濃いです。マクロス7の艦長として、第一作目のエースパイロットのマックスが登場し、その妻であるミリアは市長をしています。そして二人の娘のミレイナがこの作品のヒロインになっています。かなりシリアスな作風だった『マクロスプラス』とは対照的に、コメディ色が強めの明るいマクロスとなっています。そのせいかどうかはわかりませんが、バンドのボーカルである主人公の熱気バサラはギターが操縦桿になっている、顔のついたファイヤーバルキリーに乗って、戦闘中に歌い出すというぶっ飛んだ内容。放送当時は物議を醸し出しましたが、物語が最後まで進むと名作と言われるようになります。『マクロスプラス』はメインストーリーというよりは、外伝的なストーリーになっているので、本筋はこちらの『マクロス7』だと思われます。劇場版が2本、続編となるOVAも発売されるなど、大人気作品となっています。
ざっくりストーリー
アイドル歌手リン・ミンメイの歌をきっかけに、文化に目覚めた一部のゼントラーディと共存することになった地球人類は、一度地球が滅亡しかけた事もあり、種の存続のため銀河各方面への移民を開始し、100万人規模の新マクロス級超長距離移民船団を続々と送り出していきました。新マクロス級7番艦マクロス7を中核とする第37次超長距離移民船団(通称マクロス7船団)は移民惑星を求め、銀河を旅していました。船団内の居住スペースには、地球と変わらぬ町並みが再現されていて、民間人・軍人合わせて100万人以上の乗組員が平和な日々をすごしていました。ある日船団は正体不明の敵バロータ軍の襲撃を受けます。迎撃に向かった統合軍のパイロットたちは、撃墜されるも殺されるわけではなく、「スピリチア」と呼ばれる生命エネルギーを奪われ気力を失い、果ては生命活動を脅かすほどまでに影響を与えました。
そんな中、ロックバンド「Fire Bomber」のボーカリスト、熱気バサラは、VF-19改(ファイアーバルキリー)で戦場に飛び出し、『俺の歌を聴け!』と戦うことなく歌を歌い続けていました。その行為に対しマクロス7を守る統合軍のエリートパイロット、ガムリン・木崎は特に強い不快感を示し、Fire Bomberの新メンバー、ミレーヌ・フレア・ジーナスもバサラの意図を理解できず不満を募らせていました。敵にも味方にも理解されない中、諦めず歌い続けるバサラ。そんなバサラにわずかながら共鳴する人々も現れ始めます。
登場バルキリー:VF-19改 ファイヤーバルキリー
あのイサムが乗っていたYF-19がVF-19エクスカリバーとなって正式採用となるのですが、バサラはそれを元に改造。操縦桿をギターにして、ガンポットの代わりにスピーカーポッド(弾体に内蔵されたスピーカー)を撃ち込むランチャーポッドを装備しています。とにかく戦闘が目的ではなく歌を聞かせるバルキリーとなっています。一方、まともな(?)バルキリーも多数登場します。統合軍のガムリンが乗るのがVF-17 ナイトメア。ファイター形態がステルス戦闘機のようなデザインになっています。またちゃんとしたVF-19も登場します。そして最終回付近では、『マクロスプラス』でガルドが操縦していたYF-21がVF-22として、マックスとミリアがともに搭乗します。
『マクロス7』の三角関係
本作での三角関係は一応、バサラとミレーヌとガムリンの男2人女1人の三角関係ではあるのですが、意識しあうミレーヌとガムリンに対し、バサラは恋愛的な感傷があまりありません。イメージとしてはミレーヌがバサラかガムリンかを勝手に意識してる感じで、この三角関係には決着はつきませんでした。
熱気バサラ
Fire Bomberのボーカル兼ギター担当。自分の歌と音楽に並外れた情熱があり、その可能性に挑戦するべく、専用にカスタマイズされた可変戦闘機VF-19改(通称ファイアーバルキリー)に搭乗し、戦場に飛び出して決して戦うことなく歌い続け、謎の敵に対しても自分の歌を聞かせようとするかなりイカれた主人公です。
ミレーヌ・フレア・ジーナス
Fire Bomberのボーカル兼ベース担当。地球統合軍の天才パイロットとして活躍した、マクロス7の船団長を務める地球人マクシミリアン・ジーナスと、元ゼントラーディ軍のエースで、マクロス7船団の都市艦シティ7の市長を務めるゼントラーディ人ミリア・ファリーナ・ジーナスのあいだに生まれた末娘(七女)。自分を子供扱いする家庭に反発し、親元から離れてマンションで一人暮らしをしています。自分以上に自由奔放なバサラの考えや行動が理解できず、いい加減な人間だと思っていますが、その一方で、ボーカリストとしては見習うべきところが大きいと感じてもいます。
ガムリン・木崎
マクロス7所属の統合軍精鋭部隊、ダイアモンドフォースのパイロット。エースパイロットとして活躍する。階級は中尉。生真面目な性格で、軍一筋の人生を送ってきたため恋愛にも興味持ちませんでしたが、教官だったミリアから娘のミレーヌとの見合いを勧められます。負傷した際に見舞いに来たミレーヌの姿に一目惚れし、以降ミレーヌに思いを寄せていきます。
『マクロス7』の歌
今作の歌はバンド、Fire Bomberが担当。バサラとミレーヌのボーカル曲が存在しますが、やはりメインとなるのは戦場で歌いまくるバサラの方ですかね。物語中盤には、バサラの歌の効果が戦場でもでてきて、敵兵士の洗脳を解いたり、今作のメインの敵であるプロトデビルンを追い払うようになったりと、その内軍がバサラたちをサウンドフォースという部隊にしたりします。そんな影響からか、Fire Bomberの楽曲は通常のアーティストのように多くなり、発売されたFire Bomberのアルバムは総売上が30万枚とアニメソングとしては異例の高セールスを記録しました。なので代表曲も多数あります。劇中でよく歌われる「突撃ラブハート」やテンション上がる「TRY AGAIN」も有名ですが、やはり序盤からやたら歌っていた「PLANET DANCE」がやたらと印象に残っています。
劇場版『マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』
他の劇場版のように、物語を再構成したような内容ではなく、テレビ版の番外編という位置づけのストーリー。テレビシリーズの第38話以降に位置するエピソードを描いており監督のアミノテツローは「マンガ雑誌についてるふろくみたいな感じ」と話しています。時間も『マクロスプラス MOVIE EDITION』との併映されたため、30分ほどの内容です。
劇場版『マクロスFB7 オレノウタヲキケ!』
2012年に「マクロスシリーズ」30周年を記念してイベント上映された作品。1994年にてテレビ放映された『マクロス7』の映像をデジタル・リマスター化した上で再構築し、『マクロスF』の完全新作映像を融合させた作品になっています。
OVA『マクロス ダイナマイト7』
1997年に全4巻で発売されたOVA作品。『マクロス7』の後日談の物語となっています。
戦争終結の立役者であるFire Bomberは銀河系に轟くメジャーロックバンドとなりましたが、ボーカルの熱気バサラは人気に辟易していて、メンバーに黙って気の向くまま一人旅に出かけます。バサラは放浪先の辺境惑星ゾラで武装集団と現地のパトロール隊との交戦に巻き込まれて負傷し、ゾラ人の少女エルマに助けられます。エルマは、この惑星には年に一回「銀河クジラ」と呼ばれる謎の存在が回遊してくることを聞きます。
今回は『マクロス7』までの紹介となります。
次回は後半から最新作までをご紹介します。
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