よく知らない人に向けた『装甲騎兵ボトムズ』への誘い OVA編

サブカル

前回、『ガンダムシリーズ』と同じくらいに有名な作品『装甲騎兵ボトムズ』という作品についてその魅力とテレビ版のストーリーを紹介しました。

よく知らない人に向けた『装甲騎兵ボトムズ』への誘い テレビ編
リアルロボットの金字塔、『機動戦士ガンダム』。もはや世代を越えた大人気シリーズとなっていて、時代を越えて新作が作り続けられています。そんな『ガンダムシリーズ』と同じくらいに有名な作品『装甲騎兵ボトムズ』という作品を聞いた事がある人もいると思います。今回はよく聞くけど、よくは知らないという人に向け、『装甲騎兵ボトムズ』という作品について紹介したいと思います

今回は、TVシリーズの人気からいくつも制作されたOVAシリーズについて紹介します。

目次

OVAシリーズの概要

テレビシリーズ終了後も、ボトムズの人気は収まらず、総集編やオリジナルストーリーなどの映像ソフトが発売されました。どれも売上は好評で、結構最近まで新作はつくられていました。その最初の頃に発売されていたOVAは、TVシリーズの前日譚やTVシリーズの各エピソード間の空白期間を描いた作品ばかりでした。おそらくテレビシリーズのラストを考えてのことだと思います。他にもキリコが関係ない外伝作品もいくつか作られました。今回は発売順を追って内容を説明します。ちなみに総集編に関しては、ここでは割愛します。

ザ・ラストレッドショルダー

1985年に発売したOVA作品。時間軸的にはテレビ版のウド編クメン編の間に入るエピソードとなりますこの作品は第3回日本アニメ大賞OVA最優秀賞を受賞しているとのこと。物語はウドの街から脱出したキリコは、かつてのレッドショルダー隊の仲間グレゴルーの誘いに応えてバカラ・シティを訪れなした。そこにはグレゴルーの他にも、バイマン、ムーザというかつてレッドショルダー隊の仲間と再会します。レッドショルダー創設者であるヨラン・ペールゼンへの復讐を目論んでいた3人。キリコはペールゼンとつながっているであろう秘密結社にフィアナがいるかもしれないと思い、ペールゼンと秘密結社がアジトとするデライダ高地へ向かいます。
本作で初登場となるテレビ版に登場しなかったスコープドッグ・ターボカスタム。キリコたちはこの機体で、ペールゼンの元へ向かいます。一方、迎え撃つ敵のATはこれまたOVAで初登場のブラッドサッカー。そして見所は、あのイプシロンが誕生するストーリーとなっています。

ビッグバトル

1986年に発売のOVA作品。時間軸的には最終話におけるクエント消滅からキリコとフィアナがコールドスリープに入るまでの間に入るエピソードとなります。惑星クエント消滅後、キリコたちはニュートラルシティのア・コバにいました。そこでバトリングを見物中に、ゴウトは昔馴染であるマッチメーカーのチェロキーと再会します。しかし、チェロキーはバララント軍と通じていて、キリコに目をつけ、ゴウトにビッグバトルの話を持ちかけます。その内容は地上戦艦対ATというあまりに不利な内容に渋るゴウトでしたが、高額なファイトマネーに心が揺れます。そんな時、ヂヂリウムの禁断症状から危険な状態に陥っていたフィアナは何者かに連れさらわれてしまいます。それは、バトリング出場を渋るキリコに、戦いを強いるチェロキーの仕業でした。怒るゴウト。しかし、キリコはシャッコとともにフィアナを取り戻すため、バトリングの準備を始めます。この時、キリコは自分のATの肩を赤く染め上げ、戦いに挑みます。
こちらもOVAオリジナルの機体でキリコの操るのは限界まで装甲を外して、軽量化したライト・スコープドッグ。相棒シャッコはスコープドッグをベルゼルガ風に改造したベルゼルガ・イミテイト。対するバララント軍のPSニーバが駆るのもOVAオリジナルのエクルビスです。OVAでは一番エンターテインメントな作品となっています。

レッドショルダードキュメント 野望のルーツ

1988年のOVA作品。時間軸上最も古いエピソードとなります。キリコがレッドショルダーに入隊した時のエピソードです。キリコは突然の転属命令によって、惑星オドンへとやってきます。しかし、兵士たちはオドンへの到着と同時に模擬戦闘を強要されます。それは適正テストとは名ばかりの、共食いと呼ばれるレッドショルダーの実戦テストでした。突然のことに戸惑いながらも殺されていく兵士たち。そんな中、キリコはの危機を乗り越え、レッドショルダーの機体へ攻撃を加えることに成功。結局、レッドショルダーに無事入隊できたのは、キリコとともに戦ったカースンのみでした。強制収容所のようなオドン基地で、兵士たちから“所長”と呼ばれているリーマン司令官という男がいました。彼はペールゼンから、密命を受けていました。それは、キリコを監視せよというものでした。このエピソードでは、「ザ・ラストレッドショルダー」と同様に、スコープドッグ・ターボカスタムが登場。というか、「ザ・ラストレッドショルダー」は4人でなんとか復元したターボカスタムでしたが、こっちはレッドショルダー純正です。そして敵のバララント軍はテレビ版でも登場したファッティの陸戦用のグランドファッティーが初登場します。

赫奕たる異端

1994年から1995年にかけて発売された全5話のOVA作品。これまでの作品は、すべてテレビ版のエピソードの間のストーリーでしたが、いよいよこの作品で、テレビ版のあとのストーリーが展開されます。当初、このタイトルが読めませんでした。一応「かくやくたるいたん」と読みます。
キリコとフィアナが眠りについて32年が経過。ギルガメスとバララントの両国家による戦争は相変わらず続いていました。そんな中、負傷した兵士を前線から後方へと送り届けるコールドカプセルの一群の中に、キリコとフィアナを収めたカプセルが紛れ込んでしまいました。ギルガメス軍に蘇生処置が行われキリコは蘇生しますが、フィアナは蘇生不良状態のままいずこへか連れ去られてしまいます。フィアナを追い求めるキリコは、汎銀河宗教結社マーティアルの権力闘争に巻き込まれていきます。何がすごいかって、30年以上たった世界でも、スコープドッグが現役機なのがいいですね。相変わらずフィアナにぞっこんのキリコちゃん。この作品はほとんどがスコープドッグとグランドファッティしか出てこないのですが、敵であるマーティアル軍はこれまでの軍隊とは違うので、エルドスピーネという独自の機体を使用しています。そして、キリコを執拗に狙うテイタニアの専用機オーデルバックラーが登場。対するキリコはスコープドッグを荒地戦仕様にした機体バーグラリードッグで、フィアナ奪還を目指します。

ペールゼン・ファイルズ

2007年から2008年に渡って発売された全12話のOVA。後に映画化もされました。前作「赫奕たる異端」から12年ぶりとなったこの作品。「赫奕たる異端」の続きを期待してたのですが、この作品も過去のストーリーです。この作品は時間軸でいうと、「野望のルーツ」とテレビ版の第1話との間のエピソードとなります。レッドショルダー部隊を除隊したキリコは、惑星ロウムスでの「タイバス渡河作戦」に参加していました。60万以上の大兵力を用いた史上最大規模の渡河作戦だが、キリコが配属された部隊は最も過酷な戦場に送り込まれていました。こんなんばっかりですね。一方、レッドショルダー部隊司令のヨラン・ペールゼンは、軍事法廷の被告席に座っていました。検察官の詰問に、終始無言を貫くペールゼン。そんなペールゼンを見つめていた男、フェドク・ウォッカム。彼はペールゼンの考えた死なない兵士に興味を持ち、独自に集められた5人の兵士を、あえて過酷な戦地に次々と送り込まみ、彼らが死なない部隊という事を証明しようとします。もちろん、その中にキリコも含まれていました。この作品からATはすべて3DCGで描かれています。アニメの絵のほうが好きだったので、聞いたとき残念でしたが、物語冒頭で大量に出てくるATたちを見た時、たしかに手書きにアニメでは厳しいと思いました。今作で登場するのは基本的にスコープドッグです。ただバララント軍の新型としてチャビィーという期待が登場します。そしてキリコたちはクライマックスでターボカスタムに搭乗。このターボカスタムは色が黒になっています。

幻影篇

2010年3月より発売された全6話のOVA作品。ようやく「赫奕たる異端」の先のストーリーが見られるのですが、実はこの作品の一つ前に、監督である高橋良輔執筆の小説「孤影再び」という作品があり、後にアニメ化もされるのですが、その話ありきでのストーリーなので、冒頭で少し戸惑ってしまいます。物語はテレビ版の30年以上後の話で、バニラとココナが結婚し、家庭をもった状態。キリコは彼らと共にいたのですが、仲間に別れを告げることなく立ち去ってしまいました。バニラ夫妻は結婚25周年の銀婚式旅行にキリコとの思い出の地を巡ることになり、もしかしたらキリコに会えるかも知れないと淡い期待を抱きつつ、ウド、クメン、サンサとTVシリーズで訪れた場所を巡ります。その先で待つものは・・・。これまでの『ボトムズ』の総決算のような内容で、ファンサービスの意味合いが強い感じがします。そのせいか登場ATもこれまでの登場したATばかりでてきます。しかし、「ペールゼン・ファイルズ」同様、3DCGとなっています。

孤影再び

「赫奕たる異端」の後日談。そんでもって「幻影篇」より前の話となっています。少し前後してしまっています。「アレギュウムの赫い霍乱(赫奕たる異端で起こった事)」から3か月。キリコは交易都市グルフェーへ向かう途中でした。グルフェーへ続く道は軍のAT部隊によって閉鎖されていましたが、ATを奪ったキリコの活躍で突破に成功します。アレギュウムの赫い霍乱の当事者であるキリコの存在は様々な勢力から注目を集め、グルフェーを来訪した目的を探ろうとするが、本人は語ろうしません。果たしてキリコの目的は何なのか…?なによりも「赫奕たる異端」で登場しなかったバニラ、ココナ、とっつぁんの3人が登場するのが嬉しい分、やはり「幻影篇」より先に見たかったですね。登場機体は「赫奕たる異端」と同様でバーグラリードッグエルドスピーネ。今作でキリコの登場するバーグラリードッグはヘビーマシンガンを2丁持ちしていて、超強いです。

 

機甲猟兵メロウリンク

1988年から1989年にかけて発売された外伝に当たる全12話OVA作品。
この作品はキリコとは関係ない主人公メロウリンクはATを操縦しません。なんと生身でATと1対1で接近戦を行う作品。全12話のストーリーのうち、前半6話は1話完結で、後半6話は連続物になってます。基本的には『装甲騎兵ボトムズ』本編の世界が舞台。ギルガメスとバララント両軍によって続いた百年戦争の終結間近、惑星ミヨイテの最前線で、オスカー・ヘルメシオン准将指揮下のプランバンドール機甲大隊内の一部隊であるシュエップス小隊は、バララントとの激戦地の中で大隊を撤収させる為の囮の犠牲となる命令を受けます。隊長シュエップスの抗議も空しく、シュエップス小隊は軍上層部からの圧力で結局残された上に、戦う手段であるATを取り上げられ、上層部に逆らった懲罰として旧式の対ATライフルを押し付けられて生身で戦わされる機甲猟兵へ格下げされてします。奮戦空しくシュエップス小隊は主人公であるメロウリンク・アリティ一人を残して全滅。しかし、命からがら逃げ延びてギルガメスに帰還したメロウリンクを待っていたのは、小隊が軍需物資を強奪したという疑いをでっち上げられた軍法会議でした。濡れ衣を着せられた形で軍上層部の陰謀に巻き込まれた事を知ったメロウリンクは終戦後、戦友たちを死に追いやり、自らをも陥れた士官たちへの復讐の旅に出ます。この作品は敵となるATがスコープドッグスタンディングトータスをカスタマイズした機体が多数登場します。

 

そのほかの作品

ここから紹介する2作品は、私が未視聴の作品。この作品は「ボトムズ新生3作品」で制作されたスピンオフ作品です。
ちなみこの2作品に「孤影再び」を加えて「ボトムズ新生3作品」となっています。

装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE

2011年2月25日発売の本編と世界観は共有するが、キリコを中心とするシリーズとの接点は設けられていない作品。

ボトムズファインダー

2011年4月7日発売の本編との世界観や設定を一切用いていないパラレルワールドの作品。

以上がボトムズのOVA作品の紹介でした。
そして現在、高橋良輔監督がまた新しい小説を連載しています。タイトルは「装甲騎兵ボトムズ チャイルド 神の子篇」です。その内容は「幻影篇」の後のストーリー。遠くない内に映像化してくれる事を祈っています。

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