ペルソナシリーズの原点!ペルソナの第1作目ってどんなゲーム?

サブカル

現在、すっかりヒットシリーズの仲間入りをしている『ペルソナシリーズ』。ゲームも大ヒットし、『ペルソナ4』、『ペルソナ5』はテレビアニメ化され、『ペルソナ3』は全4部作で映画にてアニメ化されました。これらの人気シリーズのシステムの根幹が作られたのは、PlayStation2で発売された『ペルソナ3』が最初。他のRPGではないカレンダーを使った日付で主人公の行動を決めたり、コミュで他のキャラクターと親密度を上げたりするのは、『ペルソナ3』で登場したシステムでした。ではそもそもの1作目である『女神異聞録ペルソナ』とはどんな作品だったのでしょうか。今回はペルソナシリーズの原点の紹介をしたいと思います。

目次

元々はメガテンシリーズの派生

1996年にPlayStationで初めて発売された真・女神転生(以下メガテン)グループの作品がペルソナシリーズの第1作目となる『女神異聞録ペルソナ』。このタイトルの『女神異聞録』は『ペルソナ2』以降では外されています。メガテンシリーズの外伝的な作品の1作目にこの『女神異聞録』というのがタイトルにつくようで、他にも『女神異聞録デビルサバイバー』という作品でも使用されています。メガテンシリーズの派生なので、敵として出現するのは悪魔で、悪魔との会話交渉や悪魔合体の存在、魔法・アイテム名などメガテンシリーズの基本はこの1作目にはまだ色濃く残っています。それまでのメガテンシリーズは、仲間にした悪魔をパーティーメンバーにして戦闘していましたが、この作品で初めて「ペルソナ」という主人公達の特殊能力になりました。ゲームのベースとなるダンジョン探索は、『ウィザードリィシリーズ』や今でいう『世界樹の迷宮シリーズ』のような一人称視点のダンジョンRPGになっています。そしてエンカウントして戦闘になると、三人称視点になります。

 

ざっくりストーリー

主人公が高校生なのは他シリーズと同様。主人公たちは「聖エルミン学園」という学校に通っていて、物語の冒頭で文化祭の準備中に“未来の自分の姿が見える”というオカルティックな遊びを、その場にいた仲間たちと半信半疑ながらやることにします。その遊びの名前は「ペルソナ様」。噂通りの方法で「ペルソナ様」という遊びをやり終えると、そこへ突然すすり泣く女の子が出現し、謎の青い雷に打たれて主人公達は意識を失ってしまいます。その後、目を覚まし異常な状況に恐れた主人公たちは、精密検査のために御影総合病院に行くことにします。
この御影総合病院にはクラスメイトの園村麻希が入院していて、そのお見舞いも兼ねてみんなで行くことになりました。そのお見舞いの最中に、今度は突如大きな地震に襲われます。地震がおさまって一安心だったのですが、なんと病院内が迷宮と化していたのです。異変により蘇った死体に襲われるという絶体絶命の状況の中、主人公たちの体から湧き出る不思議な力「ペルソナ」が現れます。その「ペルソナ」の力を使いやっとのことで病院を脱出した主人公たちでしたが、異変は病院だけではなく、街全体に及んでいました。不思議な力場の影響で街から出ることができなくなってしまった主人公たち。そして街の中には悪魔達があちこちに出現し、主人公たちは「ペルソナ」を使いこの異変に立ち向かっていくことになります。

 

戦闘も独特

まずパーティーは5人編成。現在のシリーズより1人多いです。そして戦闘画面では5マス×10マスのマス目があって、キャラクターそれぞれの装備する武器に特性があり、攻撃範囲が限られます。例えば主人公が装備できる片手剣は、自分の前方2マスまでしか届かないのですが、槍は後ろまで届くといった感じ。なのでパーティーメンバーの配置もかなり重要になっていて、若干シュミュレーションよりの戦闘となっています。届かない敵には、銃やペルソナのスキルを使用して攻撃するといった感じ。そしてそこはメガテンの系列。銃に耐性があったり反射されたりもしますので、敵の構成もしっかり考えての戦闘になるので、結構難易度が高めになっています。また現在では万能属性として最強扱いのスキル「メギドラオン」も「核熱」という属性扱いで、敵によっては反射してくるのも、現在のシリーズとは大きく違う所ですね。

パーティーメンバー全員「ワイルド」

現在のシリーズでは主人公のみが複数のペルソナを付け替えることができる「ワイルド」の能力を持っていますが、この設定になったのは、『ペルソナ3』から。「ワイルド」とは呼ばれていませんが、1作目や2作目では主人公含むパーティーメンバーはペルソナを複数所持する事ができ、もちろん切り替えることも可能です。しかし、1回分の行動は消費されてしまいます。1人のキャラクターが所持できるペルソナは3体まで。パーティーメンバーに入っていない控えのキャラクターもいますので、その管理が結構たいへんかもしれません。そして前述でも伝えた通り、新しいペルソナを手に入れるには、悪魔と交渉して「スキルカード」というものをゲットしなければならないので、戦闘のたびにいろいろやることがあるので、合わない人はちょっと厳しい仕様かもしれません。

 

ベルベットルームはすでにあり

手に入れたスキルカードを持って行くのは、現在でもお馴染みの「ベルベットルーム」。もちろんイゴールもいます。イゴールにお願いしてペルソナ合体をするのですが、合体してできたペルソナは「降魔」といって、各キャラクターごとに装備させます。この行動はベルベットルームでしかできません。なので、各キャラクターにつけるペルソナをある程度考えた上で「降魔」しなければならないのです。現在のシリーズの用に、シャキーン!シャキーン!と簡単に付け替えられないんですね。さらにそのペルソナとキャラクターの相性もあり、かなり考える事が多く、なかなか骨太なゲーム仕様となっていました。

 

なんと序盤にシナリオ分岐

現在のペルソナシリーズでも、物語の結末を変える大きなストーリー分岐はあります。しかし、それはかなりストーリーが進んだ後だったり、根本的にバッドエンディングか続行かというタイミングに来る分岐なので、セーブさえしていれば特に困ることはありません。しかし、この1作目は序盤のストーリーで初めて戦闘のある病院から学校に移るのですが、この学校の行動でシナリオが分岐します。この分岐というのは、ほんの少し違うとかではなく、ストーリーそのものも、仲間になるキャラクターも、エンディングも変わってしまいます。つまりシナリオが2つあるといった感じですね。それぞれそのシナリオは「セベク編」「雪の女王編」となっていて、その内容もざっくり紹介します。

セベク編

ペルソナ1の舞台となる街には「佐伯エレクトロニクス&バイオロジカル&エネルギー・コーポレーション(通称・セベク)」と呼ばれる怪しい会社が進出しており、住民達は日頃その存在を不審に思っていました。主人公たちはこのセベクが冒頭の事件の発端だと思い、セベク本社へ侵入します。しかし、そこで支社長の神取に御影町とよく似た別の異界へ飛ばされてしまいます。

雪の女王編

学園に戻った主人公たちは学園で「雪の女王」にまつわる情報を知り、体育館で「スノークイーンマスク」を手に入れます。主人公たちの担任である高見冴子が昔を懐かしんで仮面をつけた瞬間、学園は異界に閉ざされ、冴子は仮面に取り付かれてしまいます。仮面を外すには鏡の破片が必要。その鏡の破片は3つの塔に行って集めなければならず、主人公たちはヒュプノス・ネメシス・タナトスの3つの塔へ潜入することとなります。

 

当時としても結構に尖った作品

ここまで説明した通り、ペルソナの第1作目は結構に尖った作品となっています。当時は学園ものを舞台にしたRPGが珍しかったというのと、少年少女の成長といったジュヴナイル的要素と、メガテン特有のダークな雰囲気の融合は独特な世界観を形成し、難易度は高いながらも人気を博し、現在のアトラスの主力となるペルソナシリーズの礎となります。私も当時頑張って2つのシナリオともにやりましたが、エンカウント率が高すぎたり、エンカウントを抑制する魔法・アイテムもなかったり、セーブポイントが全然なかったりと、クリアはしたものの、その後発売した「ペルソナ2」にはしばらく手がでませんでした。その後、時を経て「Persona」という名前でPSPで発売されました。私はこちらの方もプレイしましたが、セーブポイントは増え、難易度も下がり、非常にプレイしやすくなっていた事を覚えています。ただ、やはり昔の作品なので、現在のようなスタイリッシュなイメージから見てしまうと、だいぶ別ものに近いですね。

しかしながら、当時は独特な雰囲気にどっぷりとハマり、夢中でプレイした事も覚えています。特に今でも耳を離れない歌の中で回復アイテムの使用用途を説明してくれる薬局のBGM『サトミタダシ薬局店のうた』は現在のシリーズにも使ってもいいくらいの名曲です(笑)。時価ネットタナカジュネスのテーマなど、耳に残るちょっとしたBGMがあるのもペルソナシリーズの特徴。その根本はすでに1作目であったようですね。

『女神異聞録ペルソナ』についてご紹介してきました。発売されたのが昔ということもあるので、現在の視点から見るとやはりいろいろと厳しい作品。この厳しいというのは、つまらないとか、クソゲーとかいう意味ではなく、何度が高く、時間が非常にかかる作品という事ですね。でも当時それでもプレイしていたのは、それまで他にはないオカルティックでダークな雰囲気と、やはり現代を舞台にしたRPGという魅了が強かったと思います。なにはともあれ、この作品がなければ、今の「ペルソナ5」もなかったので、非常に重要な作品と言えます。

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