自分は運が悪いと思っている人ほど読んでほしい小説『運転者』の紹介

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今回はつい最近読んで私が個人的に心に残ったある本について紹介します。



運転者


今回はいつもと趣向を変えて、私が読んだ本について紹介します。小説でもなんでも本っているのは、最初の何行か読んだだけで、あれ?これ自分にあってるかもと直感的に思えるって本、みんなあるんじゃないでしょうか。今回私が紹介する本はまさにそんな感じでした。その本とはディスカヴァー・トゥエンティワンから出版されている著者が喜多川 泰さんの『運転者』。
タイトルだけみるとサスペンスとかホラー的な想像してしまいがちですが、その内容ははっきりいって真逆です。・・・真逆が何かはわからないんですが、非常に心が温まる本となっています。この本の不思議なところは、小説として物語は面白いのですが、それだけではなく、自己啓発のようなメッセージも多分に含まれていて、さらに最後での伏線回収が素晴らしく、小説の面白さがたくさん詰まっている内容となっています。まずは簡単ですが、冒頭のあらすじから紹介します。



物語のあらすじ

この本の主人公は「岡田修一」。保険の営業マンとして働いています。妻と中学生の娘がいます。働いている会社は歩合制になっていて、前職である中古車販売時代のお客様に保険に入ってもらい順調でした。最初の1年目は順調の成績でした。しかしこの会社、1年間は歩合で給料が高くなるんですが、会社のルールで1年経つとその歩合の割合が大きく下がるので、入社10ヶ月の修一は新規の契約をとらないと、次の年の給料が大きく激減してしまうという状況で非常に焦っていました。そんな中、修一が以前にとった20件の大口契約が解約されてしまうというトラブルが発生します。こうなると営業である修一は契約料を会社に返還しなくてはならなくなって、給料は激減、ボーナスはなし、さらに契約料の返還ということで逆に会社に払わなければいけないという状況になります。
そんな時に焦った修一は、解約したという顧客のところへ向かおうとするのですが、そこに妻から電話がきます。妻はその日、不登校となっている娘の件で学校に修一と二人で学校に呼ばれていることを確認してきました。正直そんな精神状態ではない修一に追い打ちをかけるように、来月予定していたパリ旅行の振込をしたか?という確認もされます。状況的に旅行なんかいけなくなることを、妻に切り出せない修一は状況を告げずに電話を切りました。さらにそこへ実家の母からもいつ帰ってくるのかという電話まであり、修一の頭の中はイライラのストレスマックス状態でした。

そんな状態で修一は一台のタクシーに乗り込みます。行き先を告げようとしていましたが、いろいろあって頭が混乱しているとそのタクシーの運転手が「まずは娘さんの学校へ急いだ方がいいんじゃないですか?」と言います。「ああ、それだ。よろしく頼む」と言ったあと修一は鳥肌がたちました。運転手になんで自分の行き先や娘の学校を知っているのか問いただすと、運転手は「私はお客様の運が大きく変化する場所へつれていくのが仕事です。」と言いながら、娘の中学校へ到着するのでした。
中学校へ着いた修一は、妻と担任の先生と面談をします。しかし、その内容は電話で済むような話ばかりで、わざわざ仕事を抜けて、しかもこんなタイミングの時に来なければいけないような内容ではありませんでした。そんな状況にイライラした修一は、話もいい加減に聞いて、学校をあとにしてしまいます。
次の日、修一はまたあのタクシーに乗ることになりました。「全然運なんか良くならなかったじゃないか!」と運転手に詰め寄る修一に「もしかして岡田さん、イライラしていませんでしたか?」と聞かれます。運は上機嫌の時ではないとその転機に気付けないといいます。あの面談で修一が上機嫌でいれば、学校の先生たちから大口の保険の契約が取れたと運転手がいいます。修一の家族構成や現在起こっているトラブルなどすべてを知っているこの謎の運転手と修一はこのあとも何度もこのタクシーで移動していくこととなります。

 

運はポイント制

この後も修一と不思議な運転手とのやり取りが続いていくのですが、物語の中で面白い解釈として「運は良いか、悪い」ではなく「運を貯めるか、使うか」のポイント制だという表現が出てきます。上機嫌でいれば運は貯まり、貯まった運を使うか使わないかという物語になっていきます。そして貯まった運を使うとき、周りからその人が『ついている』ように見えると表現されていました。そして上機嫌でいることのなかった修一は自分には運が貯まっていないはずだといい始めます。そこからこの物語はこの二人のやり取りだけではなく、修一の父、そしてそのまた父である祖父へと親子3代にわたる壮大な物語になっていきます。
もちろん、フィクションなので実際は違うのかもしれませんが、この物語には「運」をテーマに人としてどうあるべきなのかとか、どうゆう思いでいるべきなのか、そして「感謝」についてや「報われない努力などない」といった、自己啓発のような教えも取り入れていて、その要素が合わさり、読み終わった時にはかつてない感動を覚えました。正直、私は本を読んで泣いたのは初めてかもしれません。そしてエピローグまでしっかり読むことで、物語中にあった違和感や取りこぼしのアイテムなど、一気に伏線の回収をやってのけます。自己啓発のようなメッセージがあり、物語も面白くて感動する、そして最後の伏線回収と久しぶりにカロリーを使った本を読んだと私は感じました。

ちょっと前の本ですが、私が読んだのはつい先日。心境によっては非常に勇気づけてくれるすごく良い本です。

今回は以上です。

 

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