『疾風のように〜ザブングル ザブングル♪』のオープニングでも有名。今回は、この『戦闘メカ ザブングル』について紹介します。
目次
リアルロボットアニメブームの初期の作品
この『戦闘メカ ザブングル』は本ブログでも度々紹介している『機動戦士ガンダム』の富野由悠季監督作品。“ガンダム”の富野作品という事で、ガンダムのようなシリアスで、若干暗めなストーリーと思いがちですが、この作品については、全編通して明るく、コミカルに描かれています。
とはいっても、ジャンルとしてはリアルロボットになるので、シリアスな場面はしっかりシリアスに描いています。当時、『機動戦士ガンダム』の影響で、リアルロボット物が、徐々に世間に生まれていきました。この頃、ガンダムの制作会社サンライズは、高橋良輔監督による『太陽の牙 ダグラム』という作品を放映していて、ガンダムほどではないにしろ、プラモデルの売れ行きは好調でした。そこで『ダグラム』が好評という勢いのまま、サンライズはさらなるリアルロボットアニメを制作。ここで『戦闘メカザブングル』が制作されることになりました。実は本来、この作品は『エクスプロイター』という名前で、別の監督の元、主役メカ、登場人物のデザインまで完成して、リアルボット物ではない“スーパーロボット”作品として制作される予定だったのですが、その時の監督が多忙という事で辞退。そこへキャラやメカのデザインをそのまま生かした形で、富野監督の所へ話がいったという経緯がある作品です。ここで富野監督は設定や世界観などを新たに作り直し、西部劇のようなリアルロボット物という作品を作り出しました。主役メカのザブングルだけ、他のメカや世界観と少し違うのはそうゆう経緯があったそうです。
ざっくりストーリー
この作品は全体的に西部劇を思わせる世界観になっています。その舞台となるのは惑星ゾラ。実は未来の地球だったりします。
この世界には「3日限りの掟」というものが存在していて、窃盗だろうが殺人だろうが、あらゆる犯罪は3日逃げ切れば、すべて無罪になるというとんでもルールが存在します。主人公のジロン・アモスはある日、とある男に両親を殺されてしまいます。ジロンはこの掟の3日を過ぎても、両親を殺害した犯人を追い続けていました。ある日ジロンは、交易商人「キャリング一家」のランドシップ(飛ばない宇宙船みたいなもの)「アイアン・ギアー」に搭載していたウォーカーマシン『ザブングル』に目を付け、これを盗み出し、両親を殺したティンプという男を追おうとします。行きずりで知り合った盗賊集団“サンドラット”の協力を受け、まんまとアイアン・ギアーからザブングルを奪取したのですが、逃走方向からなんともう一機のザブングルが現れ、ジロンの逃走は阻止されてしまいます。しかし、この行動がきっかけで、もう一機のザブングルに乗っていたエルチ・カーゴの元、ジロンとサンドラットの一味はアイアン・ギアーのクルーになることになります。果たしてジロンは両親の仇を討つことができるのでしょうか。
他のロボットアニメにない魅力が多い
富野作品の特徴として、登場人物が多いのが特徴ですが、明るい作風からか、この作品の登場人物は皆、とにかくエネルギッシュにテンションの高いキャラクターばかり。魅力的なキャラクターも多く、例えば敵側で登場当初はイヤなやつだったりしても、回を重ねるごとに、そんなキャラクターたちもの憎めなくなってきます。ちなみに声優さんは現在もまだ活躍している人が結構います。
主人公の仇敵“ティンプ”は、ギレン・ザビの銀河万丈さん。そしてサンドラッドの小さい女の子、“チル”は、ちびまる子ちゃんのTARAKOさんだったりします。
またこの作品でロボット兵器の事は作品内では“ウォーカーマシン”と呼ばれ、燃料がガソリンであったり、操縦桿がステアリングのハンドルなど、他のロボット物より、なんとなく身近なマシンに感じます。設定や作風、物語が非常にうまく融合した作品になっています。
実は歴史に残るほどの新機軸ばかり
ストーリーで紹介したように、冒頭から主役メカが2機存在します。当時、ロボット物でそんな作品は存在しなかったため、放映当時かなり話題になりました。
ストーリーの流れ的に、主人公のジロンはなんとかザブングルを手に入れ、実質主役機は2機の状態で物語は進んでいくのですが、物語中盤でなんとジロンのザブングルが破壊されてしまいます。当時視聴者はみんな、今後ジロンはもう1機のザブングルに乗るものだと思っていました。しかし、次の週で登場したのが新主役機『ウォーカー・ギャリア』。この作品は、ロボットアニメ史上初の、主役機交代を行った作品なのです。この作品で初めて行われた主役機交代は、この後のいろんな作品にも取り入れられ、現在も同じ手法が使われている。実はロボットアニメの歴史に残る作品なのです。
『ザブングル』から続いたリアルロボット作品
当時『戦闘メカ ザブングル』が放映されていたのは、テレビ朝日の毎週土曜日の17:30〜18:00。この作品の好評だった事から、この時間帯はその後もタイトルを変えながら富野監督作品が、5年間続きました。『戦闘メカ ザブングル』のあとに始まったのが、『聖戦士ダンバイン』。その次の年に始まったのが『重戦機エルガイム』。そして『重戦機エルガイム』の次に始まったのが『機動戦士Zガンダム』、『機動戦士ガンダムZZ』。どの作品も人気で、名作揃いでした。
以上が『戦闘メカ ザブングル』の紹介でした。もし時間があったら視聴するのはいかがでしょうか。映像は古いですが、今の時代で観ても面白い作品だと思います。
今回は以上です。
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