エド出ていた!けど実写版カウボーイビバップはやっぱりダメだった!

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年末年始でようやくNetflixの実写版『カウボーイビバップ』を見終わったので感想を述べようと思います。これまでシーズン2が打ち切りになったとか署名運動で復活しそうといった記事を紹介してきましたが、ちゃんとしたレビューは今回が初めてとなります。

なお、ネタバレを多く含む内容になっていますので、これからNetflixの実写版『カウボーイビバップ』を視聴する人はブラウザバックを推奨します。



目次

まず感想を先に

まず感想を先に述べたいと思います。正直、打ち切られてもいいと思いました!私の場合、実写化に反対とか、原作と違うからダメだとかそうゆう感覚はなく、その作品が面白ければ、実写化でも原作と違くても気になりません。今回のNetflixの実写版『カウボーイビバップ』は、ビジュアルを原作に可能な限り近づけつつ、物語や設定も基本的にアニメをなぞっていました。賛否あるとは思いましたが、個人的には頑張っている方だと思いました。しかし、ビジュアルとか設定とかじゃなく、物語でとんでもない改悪をしているため、どうしても援護できなくなってしまいました。漠然と言ってもわからないので、順を追って紹介します。ただ視聴しての感想は、正直、打ち切られてもいいと思いました!

 

最初は頑張ってた

第1話から視聴し始めた時、酷評されている割にはそれなりに原作アニメに沿った物語が描かれていて好印象でした。第1話でアニメにもあった“レッドアイ”に関わるエピソードがあって、アインが仲間になるエピソードがあり、環境保護団体スペースウォリアーが登場するエピソードなどがあり、どれも実写化によって所々アレンジされていましたが、個人的には面白く視聴しました。スペースウォリアーのエピソードに関しては、ウイルスで人が猿になるのではなく、樹木になってしまうという、実写映えするようにアレンジされていて、実写化ではこちらの方が見ていて面白い効果がありました。他にもビバップ号のCGだったり、艦内の雰囲気だったり、BGMがそのままアニメの『カウボーイビバップ』のものが使われていたり、当初は何がそんなにだめなのかさっぱりわからないという印象でした。1話完結のアニメと違い連続ドラマという形式上、主軸となる物語が存在するのですが、その主軸となる物語も、アニメでもシリアスなエピソードとして何度か登場するスパイクとビシャスに関するエピソード。これも重要部分を主軸としているので、ファンとしても納得でした。印象が大きく崩れ始めたのは、その主軸となるエピソードの重要人物となるビシャスとジュリアが登場してからになります。

 

ビシャスとジュリア

まず、アニメ版の話をします。主人公のスパイクは以前、「レッドドラゴン」というマフィアに所属していて、その時に相棒だったのが宿敵となるビシャスです。アニメでは過去にジュリアとの三角関係が絡み、スパイクとビシャスは対立関係になっていきます。アニメのビシャスは、物静かで戦いの中でしか生きていけないほど好戦的で、冷酷非道な性格でした。一方、ジュリアもアニメではスパイクの過去を知る謎の美女として登場し、行方や素性は全て謎に包まれていて、スパイクの回想シーンで登場するくらいで、まともに物語に登場したのは最終回が近くなってからでした。そのせいか、物語中は特別な存在感とミステリアスさのあるキャラクターになっており、いつスパイクと再会できるのか、見てる視聴者をヤキモキさせたものです。


で。このビシャスとジュリアが、かなりひどいことになっています。
まずビシャスの小物感がハンパないです。レッドドラゴンの長老達に呼び出されてやたらビクついていたり、取引相手になるはずだった組織の相手を感情のまま殺害してしまい上司から無能扱いされたり、その尻ぬぐいを全部スパイクがやるのですが、その時ビシャスは家で寝ていただけだったのに父親(なんと親父がレッドドラゴンの長老)から「お前がやったのか!凄いな!」と褒められたら「そうなんだよ!父さん!」と嘘をいったり、その嘘をすぐ見抜かれ親父から無能扱いされたりと、とてもこれがビシャスだと思いたくないぐらい小物でただのダメな奴になっていました。
そんなビシャスとジュリアは、物語開始時にはもう結婚している状態だったので、自動的にジュリアの株も一気に落ちていきます。もちろん、アニメ同様にジュリアはスパイクが死んだものと思っていたという事なのですが、それでもアニメのようなクールなビシャスではなく、小物感満載のビシャスと結婚しちゃったというのが、謎の美女でもなんでもないダメな女にしか見えなくなってしまいます。しかもビシャスからはDVを受ける毎日。この重要なキャラ二人の設定を、なんでこんなどうしようもないキャラにしてしまったのかが、制作サイドのセンスを疑わざる得ません。そんな謎の美女オーラもミステリアスさもなんもなくなったジュリアもスパイクの生存を知ってからは、ビシャスをひっそりと裏切りスパイクを探し始めるのですが、最後にとんでもないことをしでかします。それについては後ほど。

 

キャラクターの設定

ある程度は覚悟はしてたので、そんなに気になるほどではなかったのですが、主役側の3人も微妙に設定が違っていたりもしました。それぞれの違いについて紹介します。どれも見方による個人的な意見なので、人によっては違和感ないかもしれません。どちらにしてもビシャスとジュリアほどおかしくはなっていません。

スパイク・スピーゲル

主人公となるスパイクは大体アニメの通りの設定なのですが、実写版ではレッドドラゴン時代の名前(というか本名)がフィアレスとなっています。さらに少し性格も悪いようで、アニメではニヒルでクールな感じの中にも人の良さやコミカルさもあったのですが、実写版では自分のことだけしか考えていない感が全面にでてしまっていました。なぜかジェットに必要以上に大切にされていましたが、とてもそこまでしてあげられる性格とは思いませんでした。でも、吹き替えで視聴し、声が山ちゃんだったおかげで、なんとかスパイクとして見ることはできました。

 

フェイ・ヴァレンタイン

フェイに関しては、3人の中で一番違和感ありませんでした。吹き替えの声も林原めぐみさんというのもあると思います。途中、女性同士で行為に及ぶなど少しいらない変なアレンジもありましたが、個人的にはあまり気になりませんでした。逆にアニメ版より少しいいヤツにも感じました。

 

ジェット・ブラック

3人の中で一番違和感のあったのがジェットでした。最初の方では性格や雰囲気はアニメ版とそんなに違いはないと思っていたのですが、なんと実写版のジェットは離婚歴があり、娘がいる設定になっています。まあ、脚色としてはいいかとは思ってたのですが、この娘がいるという設定がジェットを別人にしてしまいます。子供思いな面が必要以上に強調されていて、殺し屋を引き付けている最中に時間になったからって、スパイクに戦闘を任せて娘の演劇を見たり、「俺たちは仲間なんだ」と危険を顧みずにスパイクを救出に行くくせに、スパイクが過去の素性を隠していたことが原因で、娘が拉致されたことでスパイクに激怒したり、性格がブレブレで包容力があるのかないのかわからないキャラクターになってしまっています。それでもビシャスとジュリアよりはマシですが。

 

物語の改悪

さて、ビシャスとジュリアの所で後述とした部分について触れます。ここまでの状態であっても、私は最終回を見るまで、「イヤイヤ、いろいろあるけど結構頑張ってるじゃん」と実写版『カウボーイビバップ』の味方でした。しかし、最終回のエピソードでその気持ちが消滅してしまいました。
最終回のエピソードは、アニメで言えば第5話にあたる「堕天使たちのバラッド」の物語がメインで、スパイクとビシャスが対決する話です。この実写版でも主軸とした物語のクライマックスとなる部分です。雰囲気や背景など原作アニメに近づけていて、挿入歌で名曲「Walk in the Rain」までかかります。すごい再現度です。

オープニングのシルエットで、スパイクが高い所から落ちていくシーンがあったので、ビシャスとの対決シーンはしっかり再現するものだと思っていました。もちろん対決シーンはしっかりと再現されています。画像のようにアニメと同様にスパイクは銃で、ビシャスは刀でお互いにらみ合います。そしてビシャスが刀を振り上げた時、ビシャスを銃で撃ったのはなんとジュリアでした!(アニメではこの時ジュリアはまだ登場していませんし、スパイクは落下しながらビシャスの足元に手榴弾をおいて落ちていきます)なんでいるんだよ!とは思ったのですが、物語の進行上、スパイクのために駆けつけたのかと理解しました。しかし次の瞬間、ジュリアはスパイクも撃ってしまいます!え?と思っていたら、スパイクが落ちていくあのシーンになってしまいます。そしてなんとレッドドラゴンのトップにジュリアが君臨することになります(笑)。スパイクはなんとか生き残り、ジェットに会いにいきましたが、「娘を危険に晒した元殺し屋なんかとこれ以上組めるか」と、去っていってしまいます。

一連の流れを見た後、しばらく呆然としてから「これ真剣にやってんの?」と制作サイドの精神を疑わざるを得ませんでした。こんなシナリオ全然面白くないし、意外性とか意表をつくのが狙いだったとしても、あの状況からなんでジュリアがレッドドラゴンのトップになれるのかが理解できません。そんなちょろい組織だったのかよ、レッドドラゴン!それまでのアレンジや違和感に関しては、しょうがないと優しい目で気持ちを誤魔化してきましたが、この結末をみて一人だったのに、「そりゃ、打ち切りになるわ」と声を出して言ってしまいました。

 

最後に登場したエド

そして当ブログでもこれまで散々、実写版には「エド」がいない!と騒いでましたが、なんと最後になって「エド」が登場します。物語中も「ラジカル・エドワード」という言葉が出てたので、もしかしたらと思っていたのですが、最後の最後に登場します。タイミングが悪いことに、あの一連の流れを見た後のテンションの時に登場します。正直、このタイミングで登場したって見てる方は「エド出てきたじゃん!」とはなりませんよ!サプライズのつもりだったのかもしれませんが、もはやどうでもよくなってしまっていました。物語の最後にやけ酒を煽って路上で倒れたスパイクの元にアインと共にエドは登場し、賞金首を捕まえようと持ちかけて、実写版『カウボーイビバップ』のシーズン1は幕を閉じます。

多少安っぽく見えることもありましたが、アニメをそれなりに再現できる映像には関心する所はありました。しかし、ビジュアル面とか設定ではなく、元となったアニメの名シーンをあんな酷い形で改変しているのがどうしても納得できませんでした。実写版『カウボーイビバップ』しかみてない人からすれば、ビシャスはただのアホにしか見えないし、ジュリアもイカてる女にしか見えないと思います。それなりにお金がかかってそうだし、名作になれる要素はたくさんあった気がします。でも、シナリオはとても人にはオススメできない作品だったと思います。最後まで実写版『カウボーイビバップ』の味方でいるつもりでしたが、これはさすがに無理でした。

今回は以上です。

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