以前、本ブログ内にて「Netflix?ハリウッド?実写化決定したあの作品ってどうなってるの?」という記事でも少し紹介した『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』。以前からこの作品についていつか紹介したいと思いつつ、どんどん時間が経ってしまいました。今回はあのOfficial髭男dismも大ファンだという名作『STEINS;GATE』について紹介したいと思います。
目次
まずは作品概要について
『STEINS;GATE』は5pb.(現・MAGES.)より科学アドベンチャーシリーズの第2弾として2009年にXbox360用ソフトとして発売されたテキストアドベンチャーゲームが最初です。Xbox360というハードからか、最初はそんなに有名ではありませんでしたが、プレイした人のほとんどがそのストーリーの完成度に感動し、口コミでどんどんとその面白さが広まっていった作品。その後、テレビアニメ化するとともに、ゲームハードもPSP版、iOS版、PS3版、PS Vita版、Android版、PS4版、Steam版とどんどんいろんなハードで発売されました。ゲームも人気ですが、やはり多くの人はアニメ版を視聴していると思われます。アニメ版はゲームでいうトゥルーエンドのシナリオになっているので、本来はゲームをプレイしてもらいたいのですが、物語の面白さを知るのであれば、アニメ版で十分です。全24話です。そして好評だったアニメ版は、ゲームでも描かれなかったその後のストーリー『劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』として映画公開されました。その魅力についてはこの後追々触れていきますが、伏線回収の見本となるストーリーが秀逸で、それを肉付ける様々なキャラクターたちの魅力、そして現実世界との絶妙なリンクなど、ゲームならプレイヤー、アニメなら視聴者がどんどん感情移入しやすい作りとなっています。
魅力その1:伏線回収が素晴らしいストーリー
まずは簡単な物語の紹介。主人公の岡部倫太郎(通称オカリン)は、大学生ながら、いまだ重度の厨二病から抜け出せないでいました。自称“狂気のマッドサイエンティスト・鳳凰院凶真(ほうおういんきょうま)”を名乗り、秋葉原で借りた1室で“未来ガジェット研究所”という、メンバーがわずか3人だけのサークルでヘンテコな発明をする日々を送っていました。3人といっても本気で発明をしているのはオカリンだけ。集まっても他のメンバーの橋田至(通称ダル)はPCでギャルゲーを、オカリンの幼馴染の椎名まゆり(自称まゆしぃ☆)はコスプレの衣装を作っていました。そんな彼らがある時、電子レンジと携帯電話をつなげたことにより、偶然過去へと電子メールを送れる発明品、「電話レンジ」を生み出してしまいます。
ある日、オカリンはまゆりと一緒に行った講義会場である少女が殺害された死体を目撃してしまいます。その少女はわずか17歳でアメリカのヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所所属研究員となったの天才少女、牧瀬紅莉栖という事を知ります。慌ててその場をあとにしたオカリンはその出来事について、ダルにメールを送りますが、その瞬間、体に大きな違和感を感じます。実はこの時のメールによってオカリンは初めての過去改変をしてしまったという事を後で知ることになります。その後、オカリンはまゆりやダルと話をしますが、周囲の人の話と自分の記憶に大きな違いがあることに気がつきます。さらに講義を受けにダルと共に大学へ向かうと、数時間前に血みどろの遺体で発見したはずの牧瀬紅莉栖が無傷でそこに立っていました。
と、少し長めになりましたが、これが物語の入り口です。この後、いろんなことがきっかけとなって、オカリンは過去を改変するメールを何度か送る事になります。その結果、取り返しのつかない出来事がオカリンを襲います。その出来事をなかった事にするため、苦悩に満ちた改変に挑戦する事になります。できるだけ内容についてふれないように説明するとこんな感じです。ここで伝えておきたいのは、アニメを見るならば12話までは見てください。12話過ぎれば続きが見たくてしょうがなくなります。
魅力その2:独特なキャラクターと声優陣の熱演
登場するキャラクターがみんな濃く、クセがすごいです。しかし、どのキャラクターもきっと大好きになってしまいます。主要キャラクターを簡単に紹介します。
岡部 倫太郎(おかべりんたろう) CV:宮野真守
本作の主人公。現在大学に在学していて、学年は一年生。重度の厨二病患者でマッドサイエンティスト「鳳凰院 凶真」を真名としています。世界が改変されても記憶を保持できる能力「リーディングシュタイナー」を持っていて、これによってオカリンだけがあらゆる世界線での記憶を保持した状態で行動することができます。普段は厨二的な言動をとって仲間たちからもまともに相手してもらえませんが、仲間が危機の時には誰よりも先に行動する、実は心優しく、仲間想いな青年。そしてこの厨二病にも大きな理由があります。その真相はその目でたしかめてください。
牧瀬 紅莉栖(まきせくりす) CV:今井麻美
17歳でアメリカのヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所所属研究員。大学をすでに飛び級で卒業しています。専攻は脳科学で、サイエンス誌に自らの論文がすでに記載されているくらいの天才。実験大好き少女でオカリンたちの実験現場を偶然目撃したことが発端で、オカリンたちのラボに顔を出すようになります。今作のヒロインでオカリンといがみ合いながらも、その天才的な頭脳で窮地のオカリンを助けてくれます。オカリンはクリスのことを「クリスティーナ」、「助手」、「セブセブンティーン」といろいろ呼びます。
椎名 まゆり(しいなまゆり) CV:花澤香菜
オカリンの幼馴染。一人称は「まゆしぃ」。趣味はコスプレ(衣装を作る方)。高校2年生。仲間の一人フェイリスが経営するネコ耳メイド喫茶「メイクイーン+ニャン2」でバイトをしていて、源氏名は「マユシィ・ニャンニャン」。明るい性格ですがおっとりした性格で、自分が頭が悪いことを自覚していて、そのことでオカリンたちの会話についていけないことを少し気にしていたりします。そんなキャラクターから仲間みんなに慕われています。
橋田 至 CV:関智一
通称「ダル」。オカリンのマブダチで、高校からの付き合い。PCでのハッキングの技術にたけていて、物語中にある研究機関にハッキングを仕掛け成功させるすごさ。日常会話でもネット用語を使用していて、二次元をこよなく愛しています。オカリン曰く「マイ・フェイバリット・ライト・アーム」。
他にも主要メンバーがいるのですが、長くなってしまうので、とりあえずはこの4人だけ紹介しました。物語の序盤は彼らの日常のやりとりが非常に面白く、若干ギャグアニメ的な感じで物語は進んでいきます。しかし、そんな日常がとある事がきっかけで崩れ落ち、前述で伝えた通り、オカリンは過去改変のために奔走します。時には同じ過去へ何度も、時にはクリスにアドバイスをもらいながら、その頃には厨二病キャラがでなくなってしまいます。このギャップからくる素晴らしい演出を未視聴な人は是非みてください。
魅力その3:現実世界との絶妙なリンク
『STEINS;GATE』の物語には、実在する企業や商品などが実名で登場したり、科学用語や都市伝説、ネットスラングなども登場します。本来、アニメやゲームの演出では使用しないような言葉や名称がでてくるため、現実とのリンクを感じられます。ものによっては、少し名前を変更したものもありますが、もじり方がわかりやすいので特に違和感を感じずに理解する事ができるかと思います。例えば物語中にでてくる大型掲示板“@ちゃんねる”は“2ちゃんねる”そのままですし、作品の核心に触れる“ジョン・タイター”(下記参照)や“SERN(セルン)(下記参照)”といった、知る人ぞ知るネタも登場します。ゲームですとこういった言葉にTipsがありますので、いろいろ知ることができるのですが、アニメだと改めて調べたりしなければならなくなるのですが、こういった出来事や存在を調べることで知ることで、本当に存在すいたものや、実際に話題になった出来事などうまく現実とリンクさせています。
ジョン・タイター:2036年からやってきた自称タイムトラベラー。2000年にアメリカのネット掲示板に登場し、実際に話題とになりました。
SERN:欧州原子核共同研究機関の略称。モチーフとなった実在研究機関の略称は“CERN(セルン)”ですが、物語中にでてくるものとは無関係です。
「世界線」という言葉
『STEINS;GATE』の物語でもっとも重要になるのが、“世界線”の変動。この物語では過去が変わった(変えた)ことにより、現在にも変化があるのですが、変わったという事実をまわりの人間は何も気づいていません。しかし、オカリンだけは変わった瞬間を認識できて、まわりの人の言動や変化を気づくことができます。この世界の変化を“世界線”という言葉で表し、その変動について、オカリンは上記の画像のようなニキシー管(真空管)装置「ダイバージェンスメーター」で数値化されたその変動率を確認しながら、過去を改変し続けることになるのです。
で、この“世界線”という言葉は、もともと相対性理論などで提唱される学術用語でだったのですが、『STEINS;GATE』のヒットで一般にも広く知れわたった言葉だと思います。ここで注目して欲しいのが、Official髭男dismの大ヒット曲「Pretender」の歌詞。1番のサビの前です。
もっと違う設定で もっと違う関係で 出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で 愛を伝えられたらいいな
そう願っても無駄だから
歌詞に使用されている世界線という言葉は、多く知られたためにOfficial髭男dismの藤原さんが曲を作る時に使用したと思っていたのですが、どうやらOfficial髭男dismの藤原さんはなんとこの『STEINS;GATE』の大ファンだったようなんです。藤原さんは「Pretender」リリースに際してのインタビューで以下のように語っていました。
藤原「ちなみにPretenderの中で<世界線>という単語を使っているんですけれども、僕は「STEINS;GATE(シュタインズゲート)」というアニメの大ファンでして、このフレーズはそこからインスピレーションを受けたところもあります。 そのアニメはタイムトラベルをする話で、世界線というものが並んでいて、もしもこうなっていたら、次はこうなっていたという前提で進んでいく世界というものがあるんですね。 それで「シュタインズゲート」の中では、主人公がその<世界線>を越えて、世界を変えたいという思いで奮闘していくんです。だから僕にとって<世界線>という言葉はとてもロマンチックなもので大好きな言葉なんです。」
出典 www.uta-net.com
そして歌詞だけでなく、「Pretender」のシングルのジャケットを見ると、『STEINS;GATE』に登場した世界線の変動数値を表示するニキシー管(真空管)装置「ダイバージェンスメーター」にそのものなのです。『STEINS;GATE』は今をときめくOfficial髭男dismの歌にまで大きな影響を与えた作品なのです。
続編について
さて、これだけ大好評な『STEINS;GATE』なので、やはり続編やスピンオフ作品も存在します。今回は特に紹介しませんが、スピンオフ作品に関しては、番外編的な感じでファンサービスのようなゲームがたくさんでていますので、好きになったファンはぜひプレイしてみてください。そしてあくまで個人的にですが、問題となるのが続編の『STEINS;GATE 0(シュタインズ・ゲート ゼロ)』。詳細を伝えると本編の『STEINS;GATE』ネタバレになるので、やめておきますが、この『STEINS;GATE 0』はアニメにもなっていて、物語も面白いのです。しかし、せっかくうまくまとまった本編の『STEINS;GATE』を台無しにさせてしまう続編となっているので、私個人としてはあまりお勧めしません。続編といっても、『STEINS;GATE』のその後というわけではないので、私的には見なくても大丈夫だと思っています。でも世間的には好評です。機会があれば紹介できればと思います。ちゃんとした後日談を見たいというだけであれば、『劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』がいいと思います。
また『STEINS;GATE』は科学アドベンチャーシリーズの第二弾なのですが、第三弾となった『ロボティクス・ノーツ』では、アニメではあまり出番ありませんが、ゲームだとクリスやダルのその後の様子を垣間見ることができます。
以上が『STEINS;GATE』の紹介となります。正直、もっと伝えたい事がいっぱいあるのですが、どれもその内容に触れてしまうので、この作品に関しては、絶対ネタバレ無しで見てもらいたいので、内容についてはできるだけ避けて紹介しました。できればゲーム版の方が詳細がわかりやすいのですが、アニメ版でも素晴らしい作品になっています。髭男の歌詞で気になったという人がいたら、もう迷わず視聴してもらいたいですね。
今回は以上です。
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