当ブログではこれまで何度か『機動戦士ガンダム』をはじめとするガンダムシリーズについての記事を数多く扱ってきました。ガンダムがなぜ他の作品と比べ特別なのか、ガンダムシリーズをこれから視聴するならなにがいいのか、宇宙世紀シリーズの時系列についてとか、他にもいろいろとガンダムシリーズについては、私の記憶にある限りのことを記事にしてきました。その中で唯一触れていないガンダムシリーズがあります。そのタイトルは『機動戦士ガンダムAGE』。古くからのファンならピンとくる人が多いと思いますが、私はこの『ガンダムAGE』だけがどうしてもガンダム作品としては好きになれません。今回はその理由について紹介します。なので今回の記事は『機動戦士ガンダムAGE』を批判する記事となっています。しかし『ガンダムAGE』のファンもいると思いますので、気分を害さないために、そういった人はこの先読み進めないようにしてください。
目次
まずは『機動戦士ガンダムAGE』について
『機動戦士ガンダムAGE』は、メディアミックスなどでヒット作を数多く作り上げたゲーム会社の「株式会社レベルファイブ」が主体となって製作された作品です。もともとはガンダムの版権を所有しているバンダイから、レベルファイブへガンダムのゲームを作って欲しいという話がきっかけ。そこでゲームだけ作っていれば問題なかったのですが、依頼を受けたレベルファイブの代表取締役社長である日野晃博さんから、「ゲームだけではなく、アニメの製作もやらせてくれ」という申し入れをバンダイが受けた形になり、製作された作品です。レベルファイブは自社のゲームで「ダンボール戦機」というロボットを扱った作品を製作していて、この作品もメディアミックスにより、アニメが製作されました。そしてこの作品に登場する「LBX」というロボットのプラモデルをバンダイから発売されました。このプラモデルが当時の小学生に大ヒット。これを見たバンダイは、ヒット作を次々と生み出している日野社長の言葉をまんまとのってしまったワケです。ここで「100万本売れるガンダムゲーム」を目指して作られた一連のプロジェクトとして、『機動戦士ガンダムAGE』という作品が製作されることとなりました。
『ガンダムAGE』の特徴
『ガンダムAGE』はこれまでと趣向が変わっていて、主人公が一人ではなく、最初の「フリット・アスノ」から物語が始まり、その息子になる「アセム・アスノ」、さらにその息子(フリットの孫)になる「キオ・アスノ」といった親子3世代に渡る大河作品として製作されました。この試みは確かにこれまでのガンダム作品にはないもので、プロットの段階では非常に魅力的でした。そして主人公たちの敵となる勢力についても、物語冒頭から中盤付近まではその正体が不明という設定になっていて、未知の勢力との戦いという形で物語はスタートしました。確かにプロットとしてはかなり魅力的な作品なのですが、放映前に発表された主人公たちのキャラクターデザインが、これまでのガンダム作品とは違い、レベルファイブ作品のそれになっていたため、放映前からすでに批判され始めていました。そして放映直前からレベルファイブの日野社長が頻繁に自身のTwitter上で、『ガンダムAGE』についてつぶやかれました。「物語が大きく動く第3話まで見た上で判断して欲しい。それでも批判するなら受け入れる」と呼び掛けたましたが、ガンダムファンの批判は第3話を過ぎてもおさまることがありませんでした。
なにがそんなに受け入れられなかったのか
簡単に言えば、脚本に関わっている日野社長がガンダムという作品を上っ面だけで判断して製作されてしまったことだと思います。この作品には他のガンダム作品にはない要素がいくつかあります。その中の一つに『AGEシステム』というのが登場します。このシステムは簡潔に伝えるとガンダムが戦闘中に敵を分析し、宇宙船の中で敵に有効なガンダムが使用する武器やパワーアップパーツを瞬時に生成するというもの。一番最初はビームライフル(ドッズライフル)を生成しました。これを見たガンダムファンからは、動力とかどうなってんだよ!というツッコミが殺到したわけです。『AGEシステム』は「ヤッターマン」でいう「ビックリドッキリメカ」みたいなものでした。私は設定が現実に近く遠くない未来、あり得るかもと思わせるのがリアルロボットアニメの重要な部分だと思っています。ガンダムに関しては、そんなリアルロボットというジャンルを作り出したシリーズです。そんな作品にドラえもんのポケットのようなアイテムを登場させてしまったわけです。これがレベルファイブで手がけているゲームやスーパーロボット作品なら問題なかったのですが、古くから続いているガンダム作品で扱ってしまったのが批判の的になっていると思います。さらに日野社長の脚本が、ゲーム的な感覚で物語を構成しているため、時間的な概念や登場人物たちの掘り下げがなく、登場人物が多い割に群像劇のようにはなっていません。登場するガンダムについても、デザインこそ違いますが、コンセプトとして「ファースト」「Z」「ZZ」「ν」の特徴をそのまま使用しています。さらに「ニュータイプ」を「Xラウンダー」と名前を置き換えただけの概念があったり、ララァのように敵になっちゃうヒロインがでてきたり、上っ面だけを変えているように見えて、根本は雑にパクっただけの内容になっているのがガンダムファンに受け入れられなかったのだと思います。ガンダムシリーズの新作は放映当時こそ批判される作品は多いのですが、時間がたてば名作とされる不思議な現象がよくあります。しかし、そもそもの内容からか、『ガンダムAGE』については、現在でも批判されていることが多いです。
ガンプラの出来は非常に良い
「ダンボール戦機」のような売り上げを期待していたためか、作品の評価に反して、放送と同時に発売されたバンダイの『ガンダムAGE』のプラモデルのクオリティは非常に高いものでした。そこは作品とは関係なく、人気メカニックデザイナーの海老川兼武さんのデザインしたモビルスーツなので、立体化した時の格好良さはすばらしかったです。私も当時「AGE-1」を購入しましたが、パーツ分割、可動範囲、組み立て安さなど、今見ても素晴らしいクオリティだと思います。残念ながらアニメの不人気の影響か、売り上げはあまり良くなかったようでしたが、同時に展開していた「ガンダムUC(ユニコーン)」がこの時の『ガンダムAGE』のマイナス分を補ってもさらにプラスになるほどの売り上げだったようで、この作品がバンダイに大きな打撃を与えることはなかったようです。先日、プレミアムバンダイで大量に再販されたので、気になった方は購入すてみてはどうでしょうか。
プラモが全く売れなくて、映像ソフトもガンダムシリーズで1番売れなくて、視聴率も悪くて、「100万本売れる」とされていたゲームも爆死して、ガンダムチャンネルやバンダイチャンネルなんかの配信も全く再生数伸びないというこの『ガンダムAGE』。私が個人的に思っているのは商業的な結果だけではなく、やはりガンダム作品を手がけるのであれば、もっと勉強してから製作してほしかったというところです。次のレベルファイブのメディアミックス作品はロボット物とのことで、今回『ガンダムAGE』のことを思い出し、私が思っていたことを書かせていただきました。
今回は以上です。
コメント