昨今、日本のアニメや漫画原作の作品が、様々なメディアで実写化されていて、その中でもハリウッドでの実写化がいつも話題となっています。内容の出来については置いといて、これまで『ドラゴンボール エボリューション』、『ゴースト・イン・ザ・シェル』、『デスノート』などが実写化されています。そんな中、日本の漫画作品で最初に実写化された作品をご存知でしょうか。その作品のタイトルは『強殖装甲ガイバー』。実写だけではなく、何度も映像化されていますが、何故か知名度が低い作品です。以前関係ない記事で雑に紹介してしまったので、今回はこの『強殖装甲ガイバー』についてご紹介します。
目次
強殖装甲ガイバー
『強殖装甲ガイバー』は高屋良樹さん原作により、1985年に徳間書店から創刊された「月刊少年キャプテン」にて連載されていた作品。まず「月刊少年キャプテン」があんまり知られていないのですが、そうゆう雑誌がありました。でも知らない人が多いのに比例して、売り上げ部数が落ちていき1997年に休刊。そのまま連載されていた漫画も打ち切りになったかと思ったのですが、人気のあった作品は、他誌に移籍し、連載を続行しました。『強殖装甲ガイバー』もそんな漫画の一つ。1999年に角川書店の「月刊エースネクスト」で、連載が再開。再開したのですが2002年になんと「月刊エースネクスト」もに休刊になってしまいました。しかしその後、2007年に「月刊少年エース」にて2度目の連載再開となりました。そして現在も連載中で未完。休載も多かったのですが、そのまま2016年7月号から現在も長期にわたって休載が続いています。単行本は第32巻までが発刊されていて、単行本累計総発行部数は550万部を突破しています。同じく長期連載だった『ベルセルク』の原作者の三浦建太郎さんが亡くなり、完結することなく終わったことにより、この『強殖装甲ガイバー』も同じような心配がファンの間では起こっています。
どんな作品?
簡単に言えばヒーロー物です。高校生の主人公が偶然拾った生体兵器を身にまとってしまったことによって、秘密結社から狙われるようになるといったのが大筋。ただどちらかというと正義のために戦うとかじゃなく、巻き込まれたことにより、自分を含む、親しい人たちに危険がおよぶため、しょうがなく戦うしかない・・・といった感じです。主人公が「ガイバー」となって、仮面ライダーの怪人のような敵との戦うのですが、『強殖装甲ガイバー』の敵は怪人と怪獣の間のような「ゾアノイド」というオリジナリティの高いクリーチャーのデザインなどが話題となり、主役の「ガイバー」含め、「月刊少年キャプテン」にて連載していた当時からいろいろなメーカーで立体化されてきました。一部では非常に人気が高く、劇場公開版アニメが1本、OVAとしてアニメシリーズが2シリーズ、ハリウッドの実写作品が2本。新しい所では(もう全然新しくないですが)2005年にWOWOWにて、26話のテレビアニメが放送されました。しかし、こんなに映像化されているのに、なぜかあまり知名度が高くないんですよね。
ざっくりストーリー
秘密結社クロノスから、世界に3つしか存在しない「ユニット」をクロノスの獣化兵(ゾアノイド)の実験体が強奪し逃走しました。実験体は捕まりますが、実験体が仕掛けた爆弾により、「ユニット」はどこかへ飛んで行ってしまいます。
学校が終わって、兄のように慕っている「瀬川哲郎」と一緒に下校していた主人公の「深町晶」は、その「ユニット」を偶然拾ってしまいます。意識していなかったが、「ユニット」のスイッチを押してしまった晶は、「ユニット」の中から出てきた液体状の生物に体を飲み込まれ、そのまま池に落ちてしまいます。動揺する哲郎は「ユニット」を追っていたクロノスの獣化兵と出会ってしまい、その姿を見られたという理由で、殺されそうになります。そこに池の中から謎の怪人が現れます。謎の怪人は通常の15倍の筋力をもった獣化兵の腕を簡単にへし折り、そのまま殺してしまいます。怯える哲郎へ怪人から声がかかります。その声は晶のものでした。獣化兵を倒したあと、晶に取り付いていた怪人の部分は外れ消えてしまいました。
しかし、後日またクロノスの工作員に捕まる晶と哲郎。「ユニット」である規格外品(ガイバー)の行方を迫る獣化兵を前に、晶が「ガイバー!」と叫ぶと、再びあの怪人の装甲を身にまとうことになりました。この日から晶と哲郎はクロノスに狙われることになります。晶は大切な人たちを守るため、「ガイバー」の力でクロノスと戦う日々が始まります。
見所
この主役のガイバーは普通のヒーロー物のように、パワー任せのパンチやキックでも戦うのですが、ガイバー独特の武器がいくつか存在していて、そのどれもが生体兵器として描かれているのが特徴。いろんな武器や能力があるのですが、最大最強の武器が、胸の装甲を腕で引き剥がして、内側にある器官から粒子ビームを発射する胸部粒子砲(メガスマッシャー)。胸の装甲を腕で引き剥がすというそれまでのヒーローにはあまり描かれない描写と、その強力すぎる威力に主人公の晶も使用に躊躇するほどの破壊力があり、それまでのヒーロー漫画にはなかったインパクトを残しました。
物語も面白く、クロノスは徐々に晶のまわりの人間をターゲットにしていきます。その中で晶にとって大切な人物が、クロノスに囚われ、救出にいくのですが、連れ出して逃走している途中、その人物が獣化兵にされていて、突如獣化兵に変貌します。操られている相手と戦わざるえない場面があるなど、普通のヒーロー物ではやらない展開が描かれたりするので、なかなか気の抜けない物語となっています。そして物語が進むごとにどんどんスケールが大きくなっていき、地球創生や宇宙へと物語の主軸も変わってきます。とにかく予想できない展開と、ガイバーの独特の格好良さがあり、古いけど今でも通じる作品の魅力があります。
フィギュアの商品展開
ガイバーやゾアノイドなど、いまだにそのデザインの人気が高く、古くはガレージキットなどで、立体化されていたのですが、当時からMAXファクトリーが意欲的に商品展開していて、ガレージキットをいくつか発売後、時代とともに完成品のフィギュアなども発売されていきました。MAXファクトリーから発売されたフィギュアは、胸部粒子砲などガイバー独特のギミックも再現していて、その完成度も高く、かなりの種類が発売されました。
地味に人気のある『強殖装甲ガイバー』。ぜひ連載再開してほしいですね。次回は映像化された作品を紹介していきたいと思います。
今回は以上です。
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