ネタバレあり!『レイジングループ』でラストで気になった部分の感想

サブカル

先日、名作と名高かったテキストアドベンチャーゲーム『レイジングループ』のクリア後レビューを紹介しましたが、どうにも個人的に気になる部分があったので、今回はネタバレありでそこん所を紹介します。



目次

『レイジングループ』ネタバレあり

前回はネタバレなし(と言いつつ、結構ネタバレしていましたが)でクリア後レビューを紹介し、そこでもかなり面白かったという感想を書かせていただきました。とにかく前回でも伝えていますが、ストーリーの見せ方、ゲームシステム、各ルートでの物語の見せ方など、プレイ中は先がきになるほどの面白さでした。そして一気に読み進め、何度かバッドエンドを繰り返しながら、トゥルーエンドを迎えることになりましたが、このトゥルーエンドではこの物語全体の伏線の回収や、黒幕の正体、藤良村(ふじよしむら)にある休水(やすみず)という集落で起こったすべての出来事のトリックについてが明かされていきます。バッドエンドを繰り返すたびに登場して、プレイヤーにコメントやヒントをくれる羊のキャラも、トゥルーエンドのルートに入る時に「いよいよ反撃だ!」みたいな煽りをいれてくるので、こちらとしてはかなりテンションが高くなったのですが、ここで明かされるトリックというか、真相というのがなんとも雑というか、プレイ中に「ん?どうゆうことだ?この謎をどんな形で解明してくれるんだろう?」と思っている時に想像した程度のものだったので、もう少しびっくりするような真相を期待していたので、結末が少しがっかりしてしまいました。この後にひとつひとつその真相の感想を伝えていきます。今回は完全なネタバレになるので、まだプレイしていない人や知りたくない人はここでブラウザバックを推奨します。



まずはもう一度あらすじから

前回も書いたまんまですが、本編をまったく知らない人に向け、ここでも一応冒頭のあらすじを紹介します。真相についての感想はその後から。

あらすじ

東京でとある事があり、バイクで一人アテのない旅行をしていた主人公の房石陽明(ふさいし はるあき)は、とある山の中で道に迷ってしまいました。途中立ち寄ったコンビニの店員の案内でとある集落へ向かうことになった陽明でしたが、見通しの悪い道で転倒してしまい、崖から落ちてしまいます。そんな陽明を助けてくれたが、この物語のヒロイン芹沢千枝実。彼女は東京の大学生なのですが、休みを利用して故郷へ戻ってきている所だといいました。その彼女の故郷というのが。藤良村(ふじよしむら)という所の中にある休水(やすみず)という集落。彼女の案内で村の人と挨拶を交わしますが、この村のみんなはよそ者にはあまりいい顔をしませんでした。早々にこの村から立ち去ろうと陽明がバイクを修理していましたが、夕方にこれまでに見た事のないほどの異常な霧が発生します。他の村人と違ってこれまで陽明に協力的だった千枝実が、その霧の発生を見た瞬間、慌てて陽明を扉があり鍵のかかるトイレへ連れて行き、何があってもここから出るなと言い残し、その場を去ってしまいました。何が起こっているのかわからない陽明は、外から聞こえた女性の悲鳴により、思わず扉を開けて外に出てしまいました。そこで陽明が見たのは狼の頭をした人の姿。信じられない光景を目にした陽明でしたが、次の瞬間、その狼の頭をした人に襲われ命を落としてしまいました。


しかし、陽明はその直後、バイクで山の中で道に迷っているところに意識が戻ります。そして陽明の記憶にはあの狼の頭をした人の姿が残っていました。陽明は再び休水へと向かい、再び千枝実と出会い、そして同じく霧が出て、あのトイレへ行き、今度は女性の悲鳴が聞こえても外へと出ませんでした。その選択で今度は生き残った陽明でしたが、休水では村の伝統である「おおかみ様をくくる」為の「黄泉忌みの宴」が行われようとしていました。一度自分の命を奪ったあの存在はなんなのか?そしてなぜ自分は意識を持ったまま、時間を遡るのか?陽明は休水で起こる事件を解明しようとしていきます。

 

まず最初のルート

最初のルートは基本一本道になっています。休水で行われる「黄泉忌みの宴」というのがいわゆる人狼を誰かみんなで投票し、その結果で誰か一人を処刑し、夜には人狼が誰かを狙う。というのがメインとなっているんですが、この最初のルートでは主人公の陽明はよそ者ということで、「黄泉忌みの宴」には参加させてもらえないんです。その代わり、千枝実に自分の思いつくいろいろな事を伝え、千枝実が「黄泉忌みの宴」で他の村人と駆け引きをすることとなります。その結果、多くの村人たちの命が失われ、エンディングの一つではあるものの、決してハッピーエンドではないラストから、陽明は今度は自分が「黄泉忌みの宴」に参加するために、もう一度、バイクで迷っていた所へ戻ります。

 

2つ目のルート

陽明がいろいろな手を使うことで、休水に移住することになりようやく主人公が「黄泉忌みの宴」に参加するようになるのが2つ目のルート。陽明が参加することで、人狼やその他の役割に変化が起こります。この休水で行われる戦いにも、本家の人狼のように役職のようなものが存在しています。まずは一晩に一人、誰かを調べることで、その人の正体を知ることのできる「蛇」。人の死体を確認することでその人が狼だったかどうかわかる「カラス」。一晩に一人だけ人狼から命を守ることのできる「蜘蛛」。それとなんの能力もないけどお互いがその存在であることがわかり2人存在する「猿」。最後に人側であるにもかかわらず、人狼側の味方になる「むじな」。これらの役割が人狼とともに、ルートによって変わります。この2つ目のルートで主人公は「蛇」になります。そしてこのルートの人狼の正体の一人がなんとヒロインの千枝実だったりします。ということで、このルートではヒロインはパッケージに登場するもう一人の回末 李花子(うえまつ りかこ)となります。無事、人狼を倒し、李花子と結ばれるといういかにもハッピーエンドに思えるラストでしたが、最後に惨劇が起こり、陽明はまた最初からやり直すことになります。

 

3つ目のルート

そして3つ目のルートではなんと主人公の陽明が人狼になってしまいます。他の2人とともに陽明は村人を襲うことになります。このルートでは序盤で毎回いなくなっていた部外者の2人、馬宮 久子(まみや ひさこ)というフリーライターとそのカメラマンである橋本 雄大(はしもと ゆうだい)が初めて「黄泉忌みの宴」に参加することになるのですが、ここまでほとんど登場していなかった橋本 雄大がかなりの曲者で、主人公を苦しめてきます。それでもなんとか人狼側が勝利して物語は終わるのですが、また最後にバッドエンド的な展開が起こり、もう一度、戻ることになります。まあ人狼のルートでハッピーエンドもないんでしょうが。

 

そしてトゥルーエンド

そしていよいよトゥルーエンドのルートに入ります。このルートでは陽明は「黄泉忌みの宴」には参加せず、「黄泉忌みの宴」を起こさせないようにします。ここで私がぜんぜん予想していなかったのが、ヒロインの千枝実も陽明と同じように、命をなくすたびにループしていたという事実が判明します。そしてこれまでに起こっていたループの現象や「黄泉忌みの宴」で行われる惨劇についてなどの謎が明かされ、ついに主人公は無限に続くと思われた「黄泉忌みの宴」と「藤良村」から離れることになります。

 

ラストの真相

ここでようやく感想となるのですが、このラストの真相がちょっとお粗末な感じがしてしまいました。この儀式の最中、村人が夜眠ってしまうのは薬品的な方法で眠らされ、人狼が狙った相手の部屋の鍵を開ける事ができるのはオートロックだったから。他ものルールに沿っていないと謎の生物に襲われてしまうは、コスプレした黒幕集団が物理的におこなっていたという、なんというか想像がついてしまう真相でした。それでもと個人的に真相が気になったのが主人公の陽明とヒロインの千枝実に起こっていたループ現象の真相なのですが、なんとこれだけ超常現象的なもので片付けられていたため、現実的なトリックだったのか、超常現象的な物語なのか、はっきりしない作品になってしまったというのが印象です。ここが個人的にすごく残念でしたね。物語への引き込み方や、ループにより登場人物たちの存在が頭の中で整理され、ルートごとに違った見せ方をするシナリオは本当に素晴らしかったのですが、最後の最後がすごく残念なイメージでした。まあ、個人的に千枝実と主人公が結ばれてハッピーエンドではあるので、そこは良かったのですが、もう少し驚きが欲しかったです。個人的に超名作だと思っている『シュタインズゲート』の科学アドベンチャーシリーズのコンセプトになっている「99%の科学と1%のファンタジー」というのならわかるんですが、『レイジングループ』ではその真相の大部分がファンタジーになっちゃっているんですよね。でもまあ、総合的にはすごく面白かったから、こんなに文章も書けるんでしょうが・・・。これが前回伝えられなかった最後の感想です。

今回、ネタバレと同時にマイナス点ばかり書いてしまいましたが、ネタバレさえなければ、終始ワクワクできた作品ではあります。プレイして楽しかったことも事実。ただ今回のこの記事を読んでしまった人にはもうおすすめできなくなってしまいました。

今回は以上です。

 

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