エクソダスって何?『OVERMAN キングゲイナー』を紹介します

サブカル

富野由悠季監督作品の『戦闘メカ ザブングル』が40周年を迎えたとのことで、今回は同じような明るい富野監督作品を紹介します。ハイテンションなノリと明るい雰囲気の中、シリアスな部分はしっかりしている、まさにかつての名作「ザブングル」の雰囲気を感じる作品が『OVERMAN キングゲイナー』。本作内で使用されている独特な言葉などと合わせて紹介します。



目次

『OVERMAN キングゲイナー』

『OVERMAN キングゲイナー』は2002年9月から2003年3月までWOWOWの有料枠で全26話で放送されたロボットアニメ。『∀ガンダム』の時もそうだったのですが、主役機の一風変わったデザインが本編を見終わると非常にカッコよく見えてしまう富野作品によくある不思議な現象を味わえる作品。それまでにファンの間で呼ばれていた“皆殺しの富野”から一変、『ブレンパワード』以降、アニメファンなどの間で俗に「白富野」などと呼ばれるようになり多少はあるものの、かつてのように人が死ぬ描写が少ない作品になっています。主役機のデザインを含め、登場するメカ「オーバーマン」は、それまでのいかにもメカという感じのデザインではなく、なんとなく生物を感じさせるデザインになっていて、中身は人工筋肉や骨格で構成されていて、それを覆うようにスーツのようなものを身にまとっています。ロボットっぽくない外観なためか、富野作品としては珍しく、フュギュアこそ数点発売しているものの、プラモデルにはなっていないメカとなっています。そして誰もが度肝を抜かれるのが、オープニング。昔のロボットアニメにあったタイトルをあえて連呼するハイテンションな曲に、登場人物たちが(主役機のキングゲイナーも)モンキーダンスしているアニメ史に残るぶっ飛んだオープニングも魅力の一つです。

ネタバレ注意!!『皆殺しの富野』の鬱エンド作品を紹介!
『機動戦士ガンダム』の監督で有名な富野由悠季さん。ガンダム以外でもいろんなロボットアニメを世に送り出していて、富野監督がいなければ『リアルロボット』というジャンルは生まれませんでした。そんな富野監督ですが、アニメファン界隈では、『皆殺しの富野』と呼ばれていたりします。今回はその『皆殺しの富野』と呼ばれる原因となったいわゆる『鬱エンド』となった作品を紹介します。

 

時代に合わせてアップグレードされた作品

富野監督は、おそらくはガンダムシリーズなどでは表現できない設定を、ガンダム作品以外では結構使う傾向にあり、この『OVERMAN キングゲイナー』にも独特な設定がされています。これはあくまで個人的な意見なのですが、『OVERMAN キングゲイナー』はゲーム的な要素や設定が使われているように感じます。主人公のゲイナーがテレビゲームのキングだったり、物語のメインとなる「オーバーマン」にはそれぞれ機体ごとに「オーバースキル」という特殊能力が設定されていて、それぞれのその特殊能力を駆使しての戦闘が独特で非常に物語を面白くしています。例えば、主役機である「キングゲイナー」のオーバースキルは「加速」。超高速戦闘が可能で、ゲイナーの操縦センスとその能力の向上によって、様々な危機を乗り越えていきます。対する敵のオーバーマンのオーバースキルは「時間停止」、「透明化」、「怪力」、「窃盗」など様々な能力を使い、キングゲイナーを苦しめていきます。こういったスキルや敵の能力などを見てみると、ゲームでよくある設定のような気がして、全体的にゲームを意識した作品になっていると思いました。とはいいつつも、そこはこれまで数々のリアルロボットアニメを作ってきた富野監督。こういった設定をうまく使用しつつ、物語は物語でしっかり魅せてくれます。冒頭でも伝えましたが、主役機の一風変わったデザインが本編を見終わると非常にカッコよく見えてしまう作品で、当初、キングゲイナーのデザインを見たときは、これロボット?と毎回ながら非常に否定的な目線から入ってしまいました。しかし、物語を見ていくと、キングゲイナーの立体物が欲しくなってしょうがなくなります。デザイン的な問題からか、プラモデルにはなっていないのですが、フュギュアやガレージキットなどは発売していて、当時発売された「リボルテック」のキングゲイナーは速攻で購入し、今も大事にとってあります。おそらく、アニメを見ていない人には、このデザインの何がかっこいいのかわからない人が多いと思いますが、そんな人はアニメを見てみてください。欲しくなっても知らないですからね。

 

ざっくりストーリー

遥か未来。地球環境が悪化し、人類は自然環境を回復させるため、砂漠やツンドラ地帯に巨大都市国家「ドームポリス」を建設して生活していました。しかし、時代とともに長い年月その停滞しきった生活を続ける人の中には、「ドームポリス」から脱出しようとする人が現れ始めていました。この脱出する活動は「エクソダス」と呼ばれ、管理する体制側はこの「エクソダス」を常に警戒していました。


シベリアにあるドームポリス「ウルグスク」に住む主人公のゲイナー・サンガは、「エクソダス」に反対していた両親が暗殺されて引き籠もりとなり、自宅でテレビゲームをするだけの孤独な毎日を送っていました。念願だった「ゲームチャンプ」の称号を獲得したゲイナーでしたが、学校での授業中、突然現れたシベリア鉄道警備隊のアデットに逮捕されてしまいます。罪状は「エクソダス」への共謀罪。無実の罪で囚われとなってしまったゲイナーは、地下牢でもう一人の主人公「ゲイン・ビジョウ」という青年と知り合います。ゲインの誘いに乗って、ゲイナーは脱獄し、その後「ウルグスク」の支配者であるメダイユ公爵の愛娘・アナ姫と出会います。彼女を人質にして逃げる算段をつけたゲインは、メダイユ公爵が秘蔵していた人型兵器「オーバーマン」を起動するようにゲイナーに言います。ゲイナーはメダイユ公爵が秘蔵していた白いスーツの「オーバーマン」にゲームチャンプとなった自分の名前から「キングゲイナー」と命名。「キングゲイナー」に乗り込んだゲイナーは追っ手として現れたアデットと戦うことになりました。その混乱に乗じて「ウルグスク」は街のユニットごと祖先の地・ヤーパンを目指す「エクソダス」を開始します。ゲインはエクソダス請負人で、彼の考案したエクソダスとは、大胆にも町ごと脱出するというものでした。
エクソダスを阻止しようとするシベリア鉄道警備隊やドームポリスを管理する世界政府ロンドン・イマの様々なオーバーマンの追撃をゲイナーのキングゲイナーとゲインの活躍で振り払いつつ、ゲイナーは、友人や仲間たちとともに海の向こうの豊穣の土地”ヤーパン”を目指すのでした。



 

いろいろと解説

私がそうだっただけで、みんながそうとは限らないのですが、富野監督作品は、物語中で割と重要な言葉についてちゃんと説明されず、作品を見ているうちに理解していくような名称が結構あります。これが新しい作品になればなるほど、個人的な体感としては顕著になっているような気がします。『OVERMAN キングゲイナー』を私が視聴し始めた時もそうで、ストーリーの所では補足しながら解説していますが、実際にはいきなり「エクソダス」や「ドームポリス」、「ウルグスク」、「シベリア鉄道」という言葉が入り混じり、どれが地名で組織の名前なのかわからずに戸惑ってしまいがち。作品を見ているとわかってくるのですが、せっかく面白い物語なので、最初からわかっていた方がいいかと思います。ここでは、『OVERMAN キングゲイナー』の物語内に出てくる言葉を解説します。

エクソダス

「エクソダス」とは、この物語で人々が生活している都市「ドームポリス」から逃げ出すことを言います。「エクソダス」は物語のメインとなっている部分で、主人公たち一般市民の目的が「エクソダス」しようとする事なのですが、それを阻止しようとする政府側との戦いが描かれていくことになります。
設定では、長年の自然破壊により、環境の優れた土地は自然環境保全地域として、普通の人々は立ち入りができなくなってしまったという時代で、一般の人は氷雪地域や砂漠地帯など本来人が生活するのに適さない地域に建設した「ドームポリス」というドーム状の中で生活することになっていました。しかし、物語が始まった時にはすでにその自然が十分に回復したものとされているらしいのですが、政府側が効率的利益集約システムを維持するためだけに、その状況が続いていてドームポリスで生活する人々はその圧政に対し、不満を募らせていました。
こんな状況に対して、「ドームポリス」での生活から、かつて人が住んでいた温暖な地域への移動(脱出)し、その土地に移住をこの世界では「エクソダス」と呼ばれています。

シベリア鉄道警備隊

この世界でシベリア一帯の鉄道路線を運営・管理する巨大な組織、「シベリア鉄道公社」の武装組織のこと。物語中では「シベ鉄」と呼ばれています。鉄道会社?というようなネーミングですが、この物語の敵側となっている組織です。ドームポリスの政治・経済に対して大きな影響力をもち、実質的にシベリアを支配しているとも言える組織で、名前としてわかりにくいですが、ガンダムでいうジオン軍という立ち位置。

 

ロンドンIMA(ロンドンイマ)

IMAは「International Monitoring Agency」の略で、国際監視機構を意味する言葉で、各ドームポリス間の調停組織ですが、実際には大きな権力を持つ世界政府のような存在。ロンドンに本拠地があるため、こうに呼ばれています。シベ鉄よりも強力な組織といった感じです。

 

セント・レーガン

ロンドンIMAの戦闘組織。オーバーマンのゴレームシリーズを主戦力とする部隊です。

 

ウルグスク

かつてヤーパンという地域の住人が移住したドームポリスの地名です。主人公たちはこのウルグスクのドームポリスからエクソダスするのが物語の始まりです。

 

ヤーパン

エクソダスをした主人公たちが目指している地域で、自分たちの祖先が住んでいた所。実は日本のことで、ヤーパンはJapanのドイツ語読みとの事です。

 

シルエットマシン

シルエットエンジンによって稼働する兵器。基本的には本来のロボットアニメらしくメカニックな外観をしています。わかりやすくいうとヤラレ役が多く、ザブングルのウォーカーマシンのようなデザインが多いです。もうひとりの主人公、ゲインが前半に乗っている「ガチコ」もシルエットマシンです。

 

オーバーマン

基本的な動力理論はシルエットマシンと同じなのですが、その数倍の性能を持つ発展した技術を使うロボットの事を「オーバーマン」と呼びます。1機しか存在しないものが多いのですが、セント・レーガンなどは量産型のものを使用しています。見た目は大きく違いますが、「すごいシルエットマシン」という感じでいいかと思います。前述でも説明しましたが、それぞれの機体に「オーバースキル」という能力があります。

富野監督作品の中でも、『戦闘メカ ザブングル』が好きな人には是非見てもらいたい作品。

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