今年2022年の6月3日に公開が予定されている映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』。テレビアニメ版エピソードの第15話との関係性に注目されていますが、実はテレビ版とは物語の前後が繋がってないのに注意が必要です。
目次
物語はジ・オリジン
令和のこの時代になって、ファーストガンダムのリメイクとして『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が見れるとあちこちで話題となっています。当ブログでも何度か紹介したように『ククルス・ドアンの島』は元祖となるテレビアニメの『機動戦士ガンダム』の全43話の中の第15話「ククルス・ドアンの島」のサブタイトルと同じになっていて、この物語をベースに映画として新たに作られています。今回の映画公開前に動画配信サービスなどで、テレビアニメ版の『機動戦士ガンダム』を見ている人もいるんじゃないでしょうか。
でも、映画版の『ククルス・ドアンの島』はテレビアニメ版との関係性はほぼないに等しいのです。これまでに何度か紹介しましたが、改めてもう一度まとめますと、映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の物語となっています。以前まではそうなんじゃないか?程度だったんですが、イベントで監督の安彦良和さんがはっきりと明言しましたので、ここであえてもう一度説明したいと思います。
テレビアニメ版とジ・オリジンの違い
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN(以下:ジ・オリジン)』は簡単に言ってしまえばファーストガンダム、つまりテレビアニメ版『機動戦士ガンダム』の漫画版です。以前詳細については説明していますので、『ジ・オリジン』についてはこちらを参照してください。漫画の『ジ・オリジン』は実質テレビアニメ版のリメイク的な存在ではあるものの、物語の前後が結構変更され、ホワイトベースの航路にも変更が加えられています。航路が変わっているという事は、その場所場所で起こる出来事の順番も変わっています。アニメ版は宇宙から始まり大気圏を突入し、北米大陸にたどり着き、ガルマ・ザビとの戦いを経て、ランバ・ラル隊と戦っていくようになります。ここまでは細かい違いはあるものの『ジ・オリジン』もほぼ同じです。その後、アニメではオデッサ作戦(ドムがでてくる所)という大きな戦いを経て、ベルファストでカイがミハルと会って、その後、連邦軍の本拠地「ジャブロー」に辿りつきます。そしてそこからまた宇宙に上がるのがテレビアニメ版の流れです。
一方『ジ・オリジン』では、ランバ・ラルと戦ったあと、一瞬だけドムと戦いはするものの、一気に「ジャブロー」に行ってしまいます(航路としてはこちらの方が現実的)。そこでひとエピソードあったと、ホワイトベーズには増員としてスレッガー中尉がジム中隊の隊長として着任します。その後、ベルファストにてカイがミハルのエピソードがあってから、オデッサ作戦を経て、ホワイトベースは宇宙に行くことになります。
わかりやすく単語だけで順番を説明すると、テレビ版が
ガルマ
↓
ランバ・ラル
↓
オデッサ
↓
ミハル
↓
ジャブロー
という流れに対し、『ジ・オリジン』は
ガルマ
↓
ランバ・ラル
↓
ジャブロー
↓
ミハル
↓
オデッサ
という流れになっています。何が言いたいかというと、テレビ版の第15話「ククルス・ドアンの島」は、上でいう「ランバ・ラル」あたりのエピソードになっていて、『ジ・オリジン』版つまり今度公開する映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は『ジ・オリジン』の流れの「ジャブロー」と「ミハル」の間の物語になっています。これで大きく変わっているのは、主人公アムロのパイロットとしての経験値と、ホワイトベースのメンバー。テレビ版の第15話のアムロはまだビービー言ってるガキだったし、スレッガーさん(とその仲間たち)なんかいませんでした。もっといっちゃうとテレビ版ではGMも作られていなかったので、現在公開されている予告映像のような場面は、テレビ版ではあり得ないのです。GMのデザインも『ジ・オリジン』がベースになっています。
テレビ版とは繋がっていない
上記で説明した通り、映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』をテレビ版のリメイクとして見ると、いろいろ繋がらなかったり、わかりにくくなってしまうかと思います。映画化と聞いて動画サービスなどで予習している人や、かつてのテレビ版の記憶がある人が今回の映画を見ると、おかしい事ばかりになってしまいます。今回の映画はテレビアニメ版『機動戦士ガンダム』の第15話のリメイクではなく、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のスピンオフになっているのです。なので正確な言い方をすれば『機動戦士ガンダム THE ORIGIN ククルス・ドアンの島』というのが本来の正式なタイトルということになると思います。『ジ・オリジン』は以前も『シャア・セイラ編』のみがアニメ化されています。これはテレビ版にはなかった物語のキーパーソンの「シャア」と「セイラ」の過去に焦点を当てた物語だったためだと思われ、その他にはこれまで『ジ・オリジン』はアニメ化されていませんでした。そしてここで漫画本編にないエピソードが映画でオリジナルとして制作されたというわけです。なので映画の予習したい人は、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を読んでおくのがいいかと思われます。
とはいっても、ガンダムはガンダム。安彦さんが監督する映像だし、この映画1本だけ見ても十分楽しめる作品だと思います。細かい事を気にしない人は前後など気にせずに楽しみましょう。前後が気になる人は、漫画を読む事をオススメします。
今回は以上です。
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